県議会だより

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令和2年6月定例県議会一般質問(5)

出雲河下港について

出雲河下港が位置する出雲地方は、出雲大社を始めとする古代出雲神話につながる歴史的遺産が多く、松江しんじ湖温泉、玉造温泉など有名な温泉地にも近く、宿泊施設も多種多様で、周辺の海岸は磯釣りや船釣りなどの好漁場も多く、海水の透明度も高いことから、海水浴やダイビング、磯遊びなどにも最適である。
全国13の特定地域重要港湾の一つに指定されている出雲河下港は、湾口が北西向きで、冬季の季節風が入り込み易いため静穏度確保が課題で、現在、静穏度を向上させるため北防波堤(320m)の建設が進められている。
出雲河下港は、災害時の利用が可能な5000t耐震バースが整備されている河下岸壁と1500tバースの小津岸壁2つからなり、河下岸壁は主として石材、小津岸壁はLPGやフライアッシュの積み下ろしに利用されており、その量は年間約20万t程度とされている。
小津岸壁が設置されるまでは白砂青松の浜が2km以上も続き、島根半島では屈指の海水浴場として多くの海水浴客を集めた河下・布勢灘海水浴場が開設されていたが、海岸の東側が埋め立てされ、防波堤や港湾施設が整備されるにつれて海岸の環境は変化し、平成9年の布勢川土石流による土砂堆積で海水浴は海岸の一部でしか実施できなくなって現在に至っている。
出雲河下港の利用については平成10年に河下港マリンタウンプロジェクトが策定され、臨海工業団地の活用と海洋レジャー、対岸となる十六島漁港の共同利用でフィッシングゲームと称する漁業者による遊漁船事業、隠岐航路の開設などが提案されたが、事業化には至らず、防災用岸壁の整備と静穏度向上のための防波堤設置が事業化されている。
県と出雲市、出雲地域の商工会議所、商工会で出雲河下港振興協議会が設置され、利用促進やポートセールスが行われ、バイオマス発電や天然水ビジネス、水産加工などの立地、鋳鉄品輸送、防衛船舶の寄港などが検討されているが、河下港の利用を拡大・促進するには、5000tバースの河下岸壁へのクレーン設備などの港湾利便施設の整備もさることながら、防災用港湾であるため、防災緑地の確保が必要なことから野積場などのヤードが狭隘で、利用が制限されている現状を改善する必要があるが、出雲河下港の利用促進のために必要な要素と施設整備についてどのように考えているか。(土木部長)

小津岸壁に隣接する臨海工業団地には岩谷産業や中国電力の関連会社が進出しているが、太陽光発電施設も大きな面積を占用している。昨年、出雲市が学校再編で廃校となった光中学校跡地の再利用について民間企業の意向調査を実施した際、複数の事業者から港湾利用を前提としたプラン提示があったと聞いている。
現在建設中の北防波堤は順調に工事が進んでおり、2年後には完成見込みである。港湾利用を促進、また、災害時に機能を発揮させるためにも、自衛隊艦艇などの大型艦船が着岸可能となる埠頭の整備をする必要があり、港湾利用の促進と港湾機能の充実させるための条件整備を図る観点からも、早急に出雲市と協調して出雲河下港の整備、利用促進にかかる検討をすべきと考えるが所見は。(土木部長)

真田晃宏土木部長答弁

出雲河下港の施設整備について

出雲河下港周辺の企業への聞き取りによれば、陸揚げした貨物を一時的に置くスペースが確保できれば利用したいとの声を伺っており、このことから、野積み場の拡張も利用促進に必要な要素の一つと考えております。利用促進につながる施設整備に当たりましては、ニーズの詳細な把握や具体的な利用の見通しなどに基づく検討が必要であると考えております。
出雲河下港には、県、出雲市、商工団体、利用者の代表で構成される出雲河下港振興会があり、利用促進のための企業訪問や国への要望活動などを行っております。一方、現地では現在、沖防波堤の整備を進めており、港の中の静穏度が徐々に向上をしております。
このような状況を踏まえ、より広い観点で港の利活用策やそれに基づく必要な港湾機能を検討する体制について、振興会の活用も含め、出雲市とともに考えてまいります。

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