県議会だより

Reports

令和2年6月定例県議会一般質問(2)

新型コロナウイルス感染対策について

紫外線のUV-C(C波)はLED殺菌灯として利用されており、重症急性呼吸器症候群(SARS)を不活性化することが判明していますが、UV-C線は危険性が高く、皮膚がんや眼疾患を引き起こすため、人には使用できないとされてきました。
数年前、コロンビア大学の研究チームは波長が222ナノメートルの遠紫外線C波が人には無害だが、ウイルスにとっては有害だとする研究成果をまとめ、最近、新型コロナウイルスについてもこの遠紫外線C波で数分以内に死滅させることが明らかになりました。
遠紫外線C波を生成する紫外線ランプは、比較的安価で9月にも実用化されるとのことであり、安全性の検証に島根大学の研究者が参画していると聞いています。学校やたくさんの人が集まる場所、例えば体育館や文化ホール、ホテルなどの入り口などに設置すれば大きな効果があるのではと期待するところですが、「自粛」は我慢であり、辛抱の先には光があります。我慢には限界がありますが、政府が提唱する「新しい生活様式」は「自粛の継続」であり、社会を疲弊化させる恐れが強いと思います。UV-Cに限らず、新しい技術開発を促進・応援し、積極的に導入することは明日の希望につながり、ピンチをチャンスにつなげるものであると思います。こうした新たな取り組みを支援、例えば実験的な導入をするなど県として支援する考えはありませんか。(知事)

平成27年10月から個人への通知が始まり、平成28年1月1日から本格運用となったマイナンバー制度は、従来、個人の住民票コードや基礎年金番号、健康保険被保険者番号などが国の機関や地方公共団体など、それぞれを管理する団体ごとに異なっていたものを一元化し、社会保障、税、災害対策の3分野について共通の番号を導入し、個人の特定を確実かつ迅速に行うことで行政手続が格段に迅速化するとされました。マイナンバーの活用範囲が健康保険や運転免許などに拡大されないため、一般のカードの発行(取得)は進まず、導入後、相当な時間が経過したにもかかわらず、行政一般の電子化が進行したようには見えません。
事実、生活給付金や企業の持続化給付金の支給手続きもインターネットと郵便、持ち込みでの申請が併用され、審査は紙ベースといった従来手法と聞いており、迅速化が叫ばれながらも、10年前のリーマンショック時とさして変わらないように見えます。
スマートフォンの普及が進んでいる一方で日本社会、とりわけ行政事務のスマート化は停滞している。島根県が全国に先駆けて開発・導入した「まめネット」も医療機関間の情報交換(共有)から進化できず、医療保険のレセプトとのリンクに至らないため普及は伸び悩みと見えます。
「はんこ」行政が日本社会のスマート化を遅延させている要因と言われていますが、マイナンバーの導入から5年が経過しても、当初期待された効果(行政の大幅な効率化やスピード化、個人情報の一元管理など)があがっていない要因をどう見ますか。(知事)
また、県内家庭に対する特別定額給付金や持続化給付金の支給状況は現在までにどのような状況と把握していらっしゃいますか。(知事)
例えば、国の支援施策で中小企業に対する感染防止に関わる支援(100万円上限の4/5の補助)について、未だに市町村の多くが要綱を示しておらず、実施に至っていないところもたくさん見受けられますが、融資以外の対策にスピード感が欠如している原因をどう判断していらっしゃいますか。(知事)
また、国のGo-Toキャンペーンに先駆けて島根県が実施する県民を対象とした観光や飲食業、運輸業界に対する支援は、できるだけ早期に開始していただきたいと思います。昨日、ステップ3となる7月10日からの実施が表明されたところであり、大いに期待しております。また、隠岐地域の需要回復には隠岐汽船の協力が不可欠であり、隠岐汽船には積極的な対応を求めていただきたいと思います。(知事)

新型コロナウイルスの感染は医療現場でのインターネット診療(WEB診療)や事業所や学校でのテレワーク導入を拡大または余儀なくさせており、島根県はさきの補正予算で県立学校や企業のテレワーク導入に関わる経費の支援事業を予算計上されました。テレワークの拡大は通勤や通学のありかたを大きく変質させる可能性があり、職住分離は都会への人口集中を変化させる可能性を想起しますが、そのためには、早急に相応の容量を持つ超高速インターネット環境の整備など情報インフラの整備が必要となります。ポストコロナ時代を見越し、必要となるインフラの整備を急ぐ必要があると思いますがいかがでしょうか。(知事)
新型コロナウイルス感染の防止対策の基本とされる「3密の解消」はナイトビジネスや旅館、料亭など接客を基本とする業種を苦境に追いやり、イベントの中止は露天商を直撃しています。このままでは日本の「おもてなし文化(おもてなし産業)」は消滅し、芸妓、舞妓などの花柳界は消滅の危機となります。今年の夏祭りは花火大会を含め多くが開催中止となっており、秋祭りの斎行も不明です。過疎高齢化の中で、コミュニティによって辛うじて伝えられてきた盆踊りや獅子舞、神楽など地域の伝統芸能やヒゲダンの活躍で脚光をあびたライブハウスや地域で頑張っているミニシアターなどが新しい生活様式によって存続できなくなることを憂慮していますが、県としてどのようにお考えになっていますか(知事)

一般に無常講と呼ばれる地域住民の葬祭形態はほとんど見られなくなり、最近の葬祭はお悔やみを述べるだけに変わり、結婚式や結婚披露宴も様変わりとなっています。こうした儀式はいったん簡略化するとなかなか元には戻らないのが世の常ですが、自粛と新しい生活様式によって大きな打撃となっている(または打撃となることが予想される)業界に対する支援、とりわけ休業せざるを得ない業種については、現状が続けば廃業を余儀なくされるわけで、融資では救済できない特定業種に対し業種変更や再起にかかる手厚い対応を要請するところです。(知事)

丸山達也知事答弁

新型コロナウイルス予防にかかるビジネス支援について

これからの社会経済活動では、感染症対策と、国が示しております新しい生活様式に対応するため、さまざまな新技術や新製品のニーズが見込まれるところであります。現在、県内の大学、高専や企業において単独あるいは連携しながら、感染防止などに関連した技術や製品の研究開発の動きがあります。県では、感染症の影響による市場の変化やニーズに対応した企業の新製品開発や新分野進出を支援する新たな補助制度を、今回の6月補正予算において提案をさせていただいているところであります。
従来から取り組んでおります大学や高専への研究費支援や企業の販路開拓支援などとあわせ、これらの新たな取り組みの事業化を進めていきたいというふうに考えているところであります。

丸山達也知事答弁

マイナンバーの活用について

マイナンバーカードのメリットは、住民票や税証明書などのコンビニ交付や、住民サービス申請時の添付書類の省略などにとどまっておりまして、日常的に県民の皆さんが利用できるサービスが少ない状況にあります。また、議員から御紹介がありましたとおり、マイナンバーカードの利用範囲が日常的に携帯して利用する健康保険証や運転免許証などに拡大されれば、利用機会がふえ、普及が進み、判こ行政から行政手続のオンライン化に進むと思っております。また、パソコンやスマートフォンでマイナンバーカードを利用できる読み取り機器などの通信機器の普及も必要であります。
国では、令和3年3月からマイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになり、また順次、利活用分野の拡大を予定しておるところであります。県としても、マイナンバーカードの利便性について県民の皆様へ積極的に周知を図っていきたいというふうに考えております。

丸山達也知事答弁

国が実施する給付金の支給状況について

特別定額給付金につきましては、国から市町村への補助により実施をされております。現時点では、全ての県内市町村で給付が開始され、6月12日現在で、全世帯の約8割の給付が完了いたしております。
なお、給付済み世帯数が9割を超えている市町村は14となっておるところであります。
次に、持続化給付金につきましては、国が民間事業者に委託し、実施されております。支給状況につきましては、都道府県別のデータがないため、全国ベースの数値となりますけれども、中国経済産業局に確認しましたところ、6月8日現在で、約180万件を超える申請に対して約120万件分、金額で1兆6,000億円相当の支払いが完了しているという報告を受けております。

丸山達也知事答弁

新型コロナ対策のスピード感欠如について

議員から御指摘をいただきました事業につきましては、国の第1次補正予算の補助金を活用し、市町村を経由した間接補助で、4月の専決補正により予算措置したものであります。国の第1次補正予算の成立後、県が新型コロナウイルス感染症対策などの支援事業の計画を国に提出し、5月25日にその採択を受け、6月2日に県の交付要綱を制定するという手順を踏んだところであります。
現在、市町村での予算化や交付要綱制定の手続が進められております。一部市町村では、既に要綱を制定し、申請受け付けを開始しておるところであります。
この事業につきましては、その実施に国、県、市町村それぞれの手続が必要となったことから、一定の時間を要したものであります。これと同様に、国での手続のために事業執行に一定の時間を要するものがありますけれども、県単独で執行可能なものについては、そういった手順が必要ございませんので、速やかに実施をしているところであります。

丸山達也知事答弁

県のプレミアム飲食券、宿泊券の実施について

6月補正予算案で提案いたしておりますしまねプレミアム飲食券、宿泊券の実施時期につきましては、当初、7月下旬を予定といたしておりましたけれども、7月1日から販売し、10日から御利用いただけるよう、準備を進めておるところであります。また、貸し切りバス等を利用した県民の皆さんの県内移動や県内観光を支援する事業につきましても、7月1日からの実施に向けて準備を進めているところであります。
議員の御指摘のとおり、多くの県民の皆様に早期に御利用いただけることが望ましいものでありますので、できるだけ早く迅速に実施していきたいというふうに考えておるところであります。
そして、隠岐汽船への対応につきましては、観光体験と宿泊、フェリー運賃の割引がセットになったおき得乗船券について、7月20日からの実施が決まったところであります。隠岐の観光需要の回復のためには、宿泊やフェリーなどをセットにした旅行商品の造成など、隠岐汽船の主体的、積極的な取り組みが必要であり、その対応を促していきたいというふうに考えております。

丸山達也知事答弁

情報インフラの整備について

県では、令和3年度までを期間といたしました島根県地域情報化戦略において、市町村や通信事業者と連携し、超高速の光ファイバーによりますインターネット環境の整備が図られるよう努めておるところであります。総務省も、令和5年度末を目標とするICTインフラの整備プランを策定いたしております。今回、新型コロナウイルス感染症への対応のために、この整備目標を前倒しし、国の第2次補正予算において、この関係の予算額が大きく増額されたところであります。
県内では、平成30年度末の光ファイバーの利用可能世帯の率は92%で、5つの市で未整備地域が残っておる状況にあります。今申し上げました国の支援制度を最大限活用し、整備が進むよう、対象の自治体に対し働きかけていきたいというふうに考えております。

丸山達也知事答弁

新しい生活様式に対応する事業者への支援について

外出自粛や新しい生活様式への対応のために、これまでどおりの事業を行うことができない事業者につきましては、さらなる長期化をした場合には、休業、廃業を余儀なくされることも想定されるところであります。このため、事業者によっては、経営計画の大幅な修正や、新たな事業分野に進出せざるを得ないといった状況も想定をされます。
こうした状況から、業種変更や経営革新、廃業前にその事業を取り組む事業統合、廃業後に再起をかけた異分野での創業など、さまざまな動きや変化が起きてくると思われます。県といたしましては、商工団体や再生支援協議会、金融機関、信用保証協会などの支援機関と連携いたしまして、こういった動きにもスムーズに迅速に対応できるよう、支援の強化を検討してまいります。

丸山達也知事答弁

新しい生活様式に対する地域や文化活動の支援について

新しい生活様式では、人と人との間隔をできるだけ2メートル以上あけるなどの実践を呼びかけておりまして、ワクチンや治療薬の開発、普及が進み、この感染症がインフルエンザに近い通常の感染症のようになるまでの間は、盆踊りや獅子舞、神楽などの伝統芸能やライブハウス、ミニシアターなども、感染拡大前と同じやり方で事業を実施するということは難しい状況にあるというふうに認識いたしております。
地域のコミュニティーによって、世代を継いで継承されてきた伝統芸能を後世に伝えていくこと、また人々の文化活動の場としてライブハウスやミニシアターなどが存続していくことは大事なことであり、会場や観客数を工夫するなどして継続をしていただく必要があると考えております。まずは、活動する方々が中心となった取り組みが必要になってまいりますけども、県の支援といたしましては、地域の伝統芸能の維持の関係につきましては、身近な市町村を中心に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
島根県といたしましては、県立の文化施設につきまして、3密回避を前提として、現在、利用料金を2分の1に低減した形で設定をいたしております。こういったものの活用ですとか、4月の専決補正で措置いたしました商業・サービス業感染症対応支援事業によりまして、新商品ですとか新業態の支援が可能となっております。新しい業態の工夫をしていただくといったことの支援を、予算2億7,000万円余り確保いたしておりますので、こういったものの活用を促していきたいというふうに考えておるところであります。先ほどのライブハウス等のいわゆるビジネスに相当するものについては、こういったものの活用を促していきたいというふうに思っております。

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