県議会だより

Reports

令和2年9月定例会一般質問(4)

美味しまね認証の推進体制強化について

リモート社会の到来は生産、販売の世界を大きく変える可能性があります。生産品を市場までの出荷をせず、三次元映像の送信でバーチャル出荷し、セリにかけることで、輸送と時間のコストを低減させることができますが、その際必要となるのが、品質管理と製品保証だと思います。
GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)とは、農業において、食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組のことです。
安全で美味しい島根の県産品認証制度(愛称:美味しまね認証)はこの認証制度で、島根県内で生産される農林水産物が県の定めたGAP(生産管理工程基準)に基づき生産されていることを第三者機関の判断をもとに知事が認証する県版GAP認証制度です。
高まりを見せている消費者の食の安全に対する意識に応え、安全な島根の農林水産物を消費者に送り届けることによってその信頼を確保するとともに、GAPの取り組みをアピールして、販売の拡大につなげていくことを目的に、島根県が平成21年度からスタートさせました。
県は審査、認証、指導、管理などについて、すべての取り組みを県の直営としてきましたが、現在、一部を外部機関へ委託する方針を示し、実施しています。稲作から水田園芸への移行という農業生産の改革と美味しまね認証の上位認証(ゴールド)や団体認証取得に向けた取り組みには、現状の普及体制のマンパワーでは対応が厳しく、JAの営農指導部局との役割分担と協調が不可欠です。
この際、美味しまね認証については、OBの活用やJAとの協調を念頭に置いた外部機関の活用によって、拡大、体制強化を図り、普及にあたる現役職員には水田園芸の拡大や生産指導に傾注できるようにしてはと考えますがご見解をお示しください。(農林水産部長)

鈴木大造農林水産部長答弁

農産物の品質管理と製品保証の必要性について

農産物をはじめとする食料品の安全や品質の確保は日常生活を営む、消費者にとって極めて関心の高い問題であります。そもそも農林水産物は一見しただけではその安全性や品質が判別しづらいという特徴がありますが、コロナ禍で実物を介さない取引が一層進めば、安全性や品質を保証できる仕組みがますます重要になってまいります。現状では、全ての食品事業者が今後HACCPに沿った衛生管理を行うこととされており、また、飲食料品の分野を中心に一定の品質を維持している基準としてJAS規格が活用されてきたのに対し、フードチェーンの最も川上に位置する農業生産で、安全や品質に関する消費者の信頼を確保する仕組みの構築は若干遅れてきた感もございますが、今後は御指摘のGAP認証制度がその中心的な役割を果たすことになっていくと認識しております。近い将来、GAPを実施していない農産物の流通の可能性は著しく狭まっていくと考えておりまして、県としてはその危機感を持って推進に力を入れております。

鈴木大造農林水産部長答弁

美味しまね認証制度の運営体制について

美味しまね認証制度を構成する指導、審査、認証という3つの主な業務のうち、従来、指導と審査を県で実施し、認証については第三者委員会に委ねてまいりました。今年度からは指導と審査を分離し、審査業務についてはしまね農業振興公社に委託しております。現在認証を取得しようという生産者の方々の機運が高まっており、審査件数も今後年々増加することが見込まれるため、公社においても、御指摘のように県職員OBなども活用しながら体制強化を進めていくものと思慮しております。
残る指導業務については、現在の認証取得希望者の多くが就農後間もない新規就農者であり、GAPの指導は生産技術や経営改善の指導と表裏一体となっていることも考え合わせると、可能な限り県職員自らが丁寧な指導に当たりたいという考えはございますが、取得希望者の増加度合いを勘案しつつ、普及組織の体制拡充をはじめ、何が必要か引き続き検討してまいります。
なお、JAについては、制度的に位置づけることまでは考えておりませんが、特に生産者グループで認証取得に取り組む団体認証では、多くの場合JAがその事務局を担っており、グループ内のメンバーへの指導などにおいて県と連携して、引き続き積極的な役割を果たすことを強く期待しております。

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