県議会だより

Reports

令和2年11月定例県議会一般質問(2)

カーボンニュートラルの対応について

2点目は、カーボンニュートラルへの対応についてであります。
国は2050年のカーボンニュートラルを宣言し、循環型社会の構築を志向しました。森林県である島根県には大きなチャンス到来です。
そこで、持続・循環という観点でお尋ねします。
はじめに、島根県のバイオマス資源の推計量についてお尋ねします。
木質系バイオマスの活用にはバイオマス発電とチップボイラーの活用などを思い浮かべますが、県内の現状についてお聞かせください。
次に、県が管理する道路延長と河川の総延長、管理を要する道路法面と河川断面の面積、管理に要する経費についてお尋ねします。
現在、国道、県道の法面には樹木が生い茂り、コンクリートの吹付や法枠が施されている箇所にも、雑草や樹木が目立ち「ぞうれている」状況ですが、どのように対処されるお考えですか。 カーボンニュートラルの達成には、発想の転換が必要です。現在、廃棄物とされている木質系の林地残材や宍道湖の水草を含めて、刈り取った雑草などを廃棄物処分から資源利用に転換することを求めますが、その方途についてお聞かせください。
かつて里山は薪炭林として活用され、多くの森林では人工造林が実施されました。化石燃料の普及によって木炭は利用されなくなり、薪炭林は荒廃し、木材価格の低迷によって造林地は放置され、結果、野生生物は住家を追われ、今、人里近くに出没し、人間の生活に影響を及ぼしています。野生生物の生息する環境が悪化することは生態系を壊し、結果として人類の生存を毀すと考えますが、動植物の絶滅を防ぐ行政施策の目的は何だと考えていますか。
昭和47年から島根半島で進められてきたシカ対策は、自然生息の西限とされる野生のホンシュウジカが絶滅の危機にあるとして保護するものでした。厳しい捕獲制限によってシカが増え、住民の受忍限度を超える被害が生じたことから、保護は生息管理に変更されて現在に至っています。クマやシカ、イノシシ、サルなどの野生生物は、必ずしも生息しているからと言って危険ではなく、人間と共生・共存すべきものと考えますが、見解を尋ねます。
野生生物が住める環境を維持・存続することは人間の務めです。森林や農地の荒廃は野生生物と定住者の関係を変質させてしまいます。農地は集落営農で荒廃を抑止し、林野については所有者に任せてきた管理を行政が関わる新しい管理システムを構築されようとしていますが、今後の保護行政をどのように進めるのかお尋ねします。
先月の初めに出雲市では、農作業中に農機具の下敷きになって農業従事者が命を落としました。中山間地域では除草による事故も多いようです。水田フル活用交付金などの施策によって必ずしも農業者でない人が農作業に関わる機会も増加しました。過去、自営の1次産業従事者の労災保険の特別加入を推進するよう要請してきましたが現状についてお尋ねします。
東洋経済新報社の47都道府県幸福度ランキングでは島根県は鳥取に続き11位にランクされています。その内容を見ると、健康18位(医療・福祉、運動・体力などが構成要件)、文化37位(余暇・娯楽、国際性)、仕事4位(雇用、企業立地)、生活3位(個人生活、地域性)、教育43位(学校教育、社会教育)などとされ、『地域住民の結びつきが強く、性別・年齢を問わず多様な個性に応じて活躍できる雇用環境が整っている。』と評価された一方、学力や不登校児童数などの教育分野で、『コミュニティの強みを活かし、地域ぐるみで心のケアを含めた児童生徒の生育環境を整えたい』と課題が指摘されています。「ウェルビーイング」(well-being)は幸福の指標される概念で、WHO憲章では「すべてが満たされた状態」としています。持続的発展を志向するカーボンニュートラルは、SDGsに叶うもので、島根県としても考慮すべき事項で、積極的に取り組むべきだと考えますが、知事の所感を求めます。

丸山達也知事答弁

Well-Beeingについて

SDGsにつきましては、個別に17の目標が掲げられております。県として取り組んでおります農林業の振興につきましては、農地や森林が育む生物多様性を保全するという意味で、その目標の一つであります緑の豊かさを守るといった目標につながると思いますし、特に1次産業での自営農家の中では事実上、定年のない体を使う健康な職場でもありますので、全ての人に健康と福祉をといったとこにもつながるというふうに思っております。そして、森林整備は地球温暖化の要因とされますCO★2★の吸収源として、気候変動に具体的な対策をという個別目標にもかなっております。
そういった様々な島根創生計画で取り組んでおります県政として重要課題として取り組んでおります各事業が、SDGsの個別の目標なり理念とどういうふうな関係を持ってるかということを含めて、県としての取組を対外的に県民の皆さんを含めてお示しをしていくということが大事だというふうに思います。
島根創生計画の中でもそういった内容を記載させていただいておりますので、SDGsのような世界的な意義も含めて取組を進めたいと思いますし、その意義について県民の皆さんの御理解をいただくということでお知らせをしていきたいというふうに思っております。

野津建二政策企画局長

野生生物の生息環境保全について

野生動植物の保護を図る施策の目的は、生物の多様性を保全し、健全な自然環境を次の世代に継承しようとすることであります。
野生動植物は生態系の重要な構成要素であるだけではなく、自然環境の重要な一部として、人間の豊かな生活に欠かすことのできないものであります。人間の暮らしは、食料や水など、多様な生物が関わりあう生態系の恵みによって支えられております。野生動植物の生存環境が脅かされるということは、人間の生存環境が脅かされるということにつながるものだと考えております。
本県に生息する熊や鹿などの野生生物は、人を食したり、人に対して攻撃することを本能とするものではなく、そういう意味で、生息しているから危険というわけでないのは議員御指摘のとおりであります。食料不足など、野生生物にとって自らの生存が危うい状況が生まれたため、これまでの生存地域を越えて人里までに移動することによって人や人の営みと接触してしまうことが有害となる要因であろうと思います。
したがいまして、野生生物が人里と離れたところに住める環境を保全し、人と野生生物のすみ分けを可能とすることが大切であると考えております。
2月議会で、議員から二宮尊徳の考え方について御質問がありました。そのときの私の答弁に通ずるものがございますが、自然の大きな力による荒廃を仕方のないものと諦めず、自らの怠惰による荒廃を自然のせいにせずに、人間の力で自然を変え、あるいは変化から守ることによって野生生物が住める環境を維持、存続させる必要がございます。
このための方策として、農地については集落営農の経営安定や担い手不在集落の解消に取り組むこと、林野については循環型林業に向けた取組を進めることなどによって、中山間地域、離島の農村等の活性化を図ってまいります。

野津建二政策企画局長答弁

バイオマス資源の利活用について

木質系廃棄物のバイオマス資源利活用率は、昨年度実績で製材工場残材が100%、建設廃材が87%となっております。また、道路や河川の刈草の畜産利用などが行われております。
このように、不要となった木質や草木などを単に廃棄物として焼却処理するよりも、燃料や堆肥など資源として利活用することがカーボンニュートラルの達成には有効でありますので、さらにこういった取組を進めていくことが大切だと考えております。

鈴木大造農林水産部長答弁

島根県のバイオマス資源について

県が把握しているバイオマス資源、これは大きく廃棄物系と未利用系に分かれますが、これの年間発生量は、廃棄物系では家畜排せつ物が約60万トン、生ごみなどの食品資源が約12万トン、製材工場残材などの木質資源が約20万トン、下水道等の汚泥が約62万トンとなっております。未利用系では、林地残材が約19万トン、稲わら、もみ殻等が約12万トンとなっております。
バイオマス発電については、県内に2か所、松江市と江津市に木質バイオマス発電所が設置されております。これら2つの発電所には、先ほど述べたバイオマス資源のうち、林地残材がチップ加工された上で供給されております。
供給量は、厳密には木質バイオマス発電所ではない中国電力三隅発電所への供給も含め、令和元年は14万3,000トンとなっております。また、県内に24か所ある温浴施設等に対しても同様に木質チップが供給されており、その量は令和元年で約5,000トンとなっております。

真田晃宏土木部長答弁

県が管理する道路と河川の管理について

県が管理する道路につきましては、平成31年4月1日時点で延長は3,103キロです。また、管理する道路の面積は、車や自転車、歩行者が通行する区域で道路のり面は含まずに2,654ヘクタールです。道路のり面の面積は把握をしておりませんが、管理する箇所数は約2万6,000か所です。伐採、除草に要する経費は、県単道路維持修繕費のうち、昨年度の除草関連予算として約3億7,000万円となっております。
次に、河川につきましては、県が管理する河川につきまして、今年4月1日時点で延長は2,691キロです。また、管理する河川の面積は、護岸や堤防も含めまして6,920ヘクタールです。治水上必要な伐採、除草に要する経費は、水害危険箇所堤防管理費として昨年度実績で約6,700万円です。このほか、景観や生活環境の面から必要な除草につきましては県と市町村が協同で行っておりまして、この経費は昨年度実績で、市町村の負担分も含めて約3億4,000万円です。
道路のり面の雑草につきましては、ドライバーが見通しを確保しやすいよう、路肩から1メートルから1.5メートルの幅を年に1回程度除草をしております。また、道路のり面の樹木につきましては、道路区域内で倒木のおそれがある危険な木を発見した場合に速やかに撤去するよう努めており、今後も道路のり面の維持管理を行ってまいります。

鈴木大造農林水産部長答弁

労災保険の特別加入について

農業分野における労災保険の特別加入の状況は、令和元年度で1,031名でありまして、この5年間で加入者数は倍増しております。一方で、農業就業人口に対する加入率で見ると4.2%と全国平均を下回っている状況にありまして、加入が必要な方に必要な情報が行き届いてるか、この実態把握が十分ではない側面もございます。
県としてはこれまで、毎年春と秋の農繁期に行っている農作業安全運動において、パンフレットを市町村やJAなどに配布し、加入を促進してまいりました。この取組を継続するとともに、今後は県版GAPの取得者に対し、明示的に制度説明を実施するとともに、加入の状況についても定期的に点検するなど、制度の周知、活用状況の把握に努めてまいります。

過去の投稿

園山繁の活動日誌