県議会だより

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令和3年2月定例会一般質問(6)

竹島の日に関わる問題について

2月22日は島根県が条例で定める竹島の日で、制定から17年目の今年は、コロナ禍による感染防止の観点から例年よりも参加者を限定して記念式典が開催されました。
16年が経過して、外務省のホームページや教科書への記載、領土展示館の開設などがされたものの、北方領土問題を所管する政府組織が内閣府に北方対策本部が置かれ、北方領土の日が閣議決定され、政府主催の記念式典が行われていることに比較すると、国家行政組織法に定める竹島問題を所管する政府組織は存在せず外交交渉の端緒すら見えないのは極めて残念です。
2012年(平成24年)11月22日に内閣官房に竹島問題対策準備チームが設置され、政府内に、初めて「竹島」と名がついた組織が設置されましたが、2013年(平成25年)2月5日に領土・主権対策企画調整室の設置とともに消滅し、外交交渉に必要となる竹島に関する研究機関の設置や歴史的資料の収集・保存を図ることは実現に至っていません。
ところで、島根県は知事部局に竹島対策室が組織され、啓発施設として竹島資料館を開設し、資料収集や歴史的事実の検証など竹島問題に関する調査研究機関として島根県竹島問題研究会を発足させてきています。
つい、最近、島根大学の研究者によってサンフランシスコ平和条約締結後にアメリカ軍が作成した地図(海図)に竹島が日本領であることを示す資料が発見され、竹島資料室に写しが展示されています。
仄聞するところでは、永年、竹島問題研究会を主宰してきた拓殖大学の下條教授が定年退官の年齢となると聞きましたが、研究会の構成員には、現在、島根県立大学の研究者の名前はありません。
かつて、島根県立大学には、国文科が設置され、歴史的資料の解析研究者であった藤岡大拙せんせいや藤沢秀晴先生などが在籍され、県史や郷土史編纂に大きな力を発揮されましたが、現在、県立大学で島根県にとって必須の課題である竹島問題に関わる研究を行う研究者が少なく、例えば、竹島の日の記念式典等で下條教授との鼎談や講演などに選定されないことには、少し物足りない気がしています。
下條教授に頼ってきた竹島研究については、早急に次なる指導者の養成を図らなければなりませんが、1日や2日で達成できることではありません。この際、県立大学に研究者を招聘して講座を開設すべきだと考えます。下條先生を特任または客員教授として迎える方法もあります。
島根県が過疎対策や中山間地域対策のトップランナーとして認められてきたのは中山間研究センターの設置にあるように政策研究機関の存在があったからであり、竹島研究は県立大学の存在を生かし、「竹島問題の研究なら島根県立大学に問い合わせろ」と言われるぐらいになってもらいたいと考えますが、知事の所見をお尋ねします。(知事)

丸山達也知事答弁

竹島研究の指導者養成と県立大学の活用について

竹島問題の研究につきましては、長年にわたりまして島根県が重要な役割を果たしてきており、その中核であります竹島問題研究会は、第1期から第4期まで資料収集や歴史的事実の検証、韓国側への反論、学習指導案の作成などを行ってきたところであります。議員から御指摘をいただきましたとおり、竹島問題に関する研究を担われる研究者は全国的にも少なく、次の世代を担う人材の育成は喫緊の課題であると認識いたしております。
そこで、来年度設置いたします第5期竹島問題研究会では、次の世代の竹島問題の研究や教育活動を担っていただく指導者を育成することも意識して、委員の人選を行っていきたいというふうに考えております。
また、これまで国に対し、竹島に関する研究体制の強化を予防してきたところでございますが、具体的に領土問題を牽引する次世代の研究者の育成についても求めていきたいというふうに考えているところでございます。
県立大学に対しましては、中期目標において、県から地域に貢献するシンクタンク的機能を強化するよう支持をし、県民の声に応える大学として、地域の研究ニーズを的確に捉え、地域貢献に主眼を置いた研究を求めているところであります。大学が策定します中期計画におきましても、島根県が抱える課題に応える実践的な研究を推進することとされております。県立大学の清原学長からは、竹島研究を進めるために、これまで竹島問題研究会の座長を務めていただき、この研究を牽引していただいております拓殖大学の下條正男教授を客員教授として招き迎え入れる予定というふうに伺っております。県立大学におきましては、竹島研究をはじめ島根県が直面する課題に応える実践的な研究や人材の育成をさらに進めていただけるものと考えているところでございます。

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