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「徳は孤ならず 必ず隣有り」とあります。
一連の知事の発言に対する賛同の声が大きくなったことは、まさに、その通りだと感じます。報道では、さきの知事会議で政府要望に取り上げられたとありました。地域を思う純粋な発言故に、反発を懸念する声もありましたが、1年を経過して、なお収束が見えないコロナ禍に対する一般大衆の心根を素直に代弁されたところに、大きな共感が得られたのだと思います。
世論の後押しで、地方創生臨時交付金の配分が変更され、感染が都会地から地方に拡散する心配が低下するような取り組みが進むことを期待するところですが、先日、自民党の政調の会合で、島根県連の青年局長を務める坪内涼二議員が、コロナは密なるがゆえに懸念が大きくなるのであり、国は過疎対策から過密対策に舵を切り、政策の方向性を変えてはどうかと述べましたが、一考すべき提案です。
論語に「事を先きにして 得ることを後にするは 徳を崇くするに非ずや 其の悪を攻め 人の悪を攻めること無きは 慝を修むるに非ずや」とありますが、知事には、是非、この言を意識していただきたいと思います。
ところで、国会のあり様であります。
国会は、政治家や公務員の資質や行動を議論・監視することはもちろん大切なことではありましょうが、106兆円もの国家予算を審議する予算委員会の総括質疑や集中審議で「公務員が民間の接待を受けて何を食べたか」などの質疑に時間が費やされ、ここ数年、週刊誌報道やワイドショーばかりの質疑を見せつけられています。
コロナ感染対策をはじめ少子・高齢化の社会保障体制、デジタル化、カーボンニュートラルなど国内課題や中国公船による尖閣への領海侵犯が常態化し日本の実効支配が風前の灯火になりつつある事態や北朝鮮の核開発、対韓問題など直ちに手を付けなければならない問題が、隅に追いやられていることは、極めて不幸な事態です。
県議会の論戦は、まさに県が直面、将来的にかかわるべき問題について議論を展開しており、議員と執行部が英知を戦わせて初めて県政が進展すると考えています。
厚生労働省は、昨年5月、新型コロナウイルス感染症の治療薬としてレムデシビルを特例承認しました。根拠はアメリカのFDA=食品医薬品局の知見です。アメリカは、新型コロナウイルスの治療薬として開発された医薬品を次々に使用許可を出し、一定の臨床データが積み重なると緊急承認しています。レムデシビルは1人あたり25万円程度の薬価だそうです。
日本はどうでしょうか。日本には、アビガンやアクテムラ、イベルメクチンなど、すでに開発された医薬品が新型コロナの患者の治療に有効とされ、医師の判断で使用されているようです。アビガンやイベルメクチンは極めて安価な普及薬で、海外でも治療薬として使用され、大きな効果があると報告されていますが、厚生労働省は国内で開発された医薬品の特別承認には、何故か、極めて慎重な姿勢です。
先週から、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。今回の接種は、ファイザーやモデルナなど、外国の医薬品メーカーが開発したワクチンで、mRNAという種類のワクチンは、これまでの生ワクチンや不活化ワクチンとは製造方法が異なるものです。
生ワクチンは、ウイルスの毒性を弱めたものが原材料で、不活化ワクチンはウイルスの感染能力を失わせたものが原材料です。いずれもワクチンの製造にウイルスそのものが必要になりますが、mRNAワクチンは、ウイルスの遺伝子から免疫効果を誘導する遺伝子配列を探し、その遺伝子配列をもとにワクチン用遺伝子を設計して、ワクチンを生産するもので、言わば人造品です。
日本は、遺伝子操作による食品や農産物の使用を制限してきました。mRNAワクチンは人類にとって全く新しいワクチンで、想定しなかった副作用が起きる可能性は否定できません。ワクチン接種が、国立病院の医療関係者に先行接種されたのは、国による外国産ワクチンの人体実験にほかなりません。
ワクチンの有効性は90%を超えると報告されており、極めて高いと考えますが、mRNAワクチンの安全性には一抹の不安を感じています。私は64歳で、この先があるとは思えませんから、接種を進められれば、もちろん、打ちますが、安全性に懸念があるとすれば、私の7人の孫を含めて、現時点では、とても若い人たちに接種を進めるわけにはいかないと思っています。
初めにお尋ねします。知事、ワクチンは安全だと思いますか。(知事)
また、多くの人が「早期にワクチン接種を受けたくない」と回答する理由は何でしょうか。(知事)
ワクチン接種は、コロナ感染を抑止する有効な手立てではあります。しかし、集団免疫を獲得する上で、人々の不安を払しょくさせ、接種へ導くためにどのような対策を講じるべきでしょうか。(知事)
厚労省は、mRNAの新型コロナワクチンについて特例承認しました。遺伝子の組み換えが何の疑いもなく普及し、ワクチン接種を機に、遺伝子組み換え食品の流通が拡大することを懸念するところですが、食品の安全性確保に対する県の考え方をお尋ねします。(健康福祉部長)
│掲載日:2021年03月01日│
初めに新型コロナワクチンの安全性についてであります。現在、国内で承認されておりますファイザーの新型コロナウイルスワクチンは、メッセンジャーRNAワクチンと呼ばれる種類のものでありまして、実用化されるのは世界で初めてということであります。今回のワクチンは、15歳以下の集団に対する十分なデータが存在していないことから、承認された接種対象者は16歳以上となっております。16歳以上につきましても、承認に必要となる臨床試験そのものが限られた人数を対象に行われているものであるため、予期しない副作用の発生を否定することはできないと考えております。
しかし、関係法規に基づく手続にのっとって安全性と効果の両面から専門家による適切な評価が行われた結果、承認されておりまして、安全性を確認されているものであるというふうに受け止めております。
また加えて、政府のワクチン接種の手順といたしまして、医療従事者向けの先行接種――4万人程度と伺っておりますけども――で観察された副反応の情報が提供されるという仕組みになっておりますので、そういった情報を含めて、県民の皆様には安全性を確認しながら接種いただくことが可能になっているというふうに認識をいたしております。
次に、ワクチンを早期に接種したくないという理由についてお答えをいたします。
報道機関などの調査によりますと、6割から8割の方が接種を希望され、2割から4割の方が希望されないという状況にあります。受けたくないとされる理由については、様々あると考えております。新たな種類のワクチンであると、したがって効果、リスクなど、接種するかどうかの判断をするための情報が少ない。一方で、副反応に関する情報が報道されていることから、その報道を基に不安を感じられ、早期の接種をためらわれることもあるというふうに考えております。
3点目は、接種の不安払拭への対策についてであります。
ファイザーのワクチンにつきましては、まず感染自体を予防する効果については評価自体がされていない。ただ、発症を予防する効果の有効性は評価をされている。そして、発症後の重症化を予防する効果はデータが限られており判断ができないというふうにされているということであります。
国は、ワクチンの接種を進めることにつきまして、発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り減らす。その結果として蔓延防止を図るためとされております。接種を希望される県民が、効果やリスクを正しく理解していただいた上で接種するかどうかを判断するためには、先行接種で得られる副反応等に関する情報を含めて、必要な情報、正確な情報を提供することが重要であるというふうに考えております。今後、政府、市町村とも協力いたしまして、様々な機会を通じて、こういった情報について正確で分かりやすく提供をしていかなければいけないというふうに思っているところであります。
なお、現時点におきましては、ファイザーのワクチンによる予防効果の持続期間はまだ不明とされております。したがいまして、今回のワクチン接種によって集団免疫を獲得できるかどうかというのは、確定をしていないというふうに認識をいたしております。
メッセンジャーRNAワクチンは、国民の生命や健康を守るために緊急的な使用が必要なことから、有効性と安全性を確認した上で、特例承認の形で薬事承認をされております。
一方、遺伝子組換え食品は、従前より、食品衛生法に基づいて安全性審査を経たものでなければ輸入、製造、販売等ができず、また今般のコロナワクチンのような特例承認という仕組みもありません。このことから、ワクチンの特例承認がきっかけとなり、遺伝子組換え食品の流通拡大につながるものではなく、安全性は確保されているものと考えております。
なお、安全性確保の一つとして、海外から輸入される全ての食品や原材料は届出が必要とされており、検疫所による監視によって安全性未審査の食品等の流入も抑えられる仕組みが取られております。