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今回提案されております令和3年島根県一般会計補正予算(第1号)について、何点かお尋ねいたします。
はじめに、飲食事業者の事業継続支援と課題についてです。
低迷し、厳しい状況の飲食業に対する給付金支給を歓迎しますが、同様に苦しい状況にある事業体に酒造業と飲食店に納入する酒小売店がありますが、救済の必要はないでしょうか。知事は、昨日の同僚議員の指摘に対する答弁で、国からの財源手当てがない状況では追加の給付金支給は難しいとの見解を述べられましたが、飲食店向けの酒の需要は著しく低迷しており、何らかの支援を検討していただきたいと存じます。
2点目は制度融資についてです。
貸したものは返してもらう必要があり、追加の融資よりも返済条件の変更や繰り延べ、借り換えを主体とするべきであり、今回の予算措置を歓迎するところです。売り上げの低迷で資金不足となった場合の運転資金の貸し付けは、収益増加または生産性向上による利益の確保が無ければ返済は難しく、無借金の場合を除いて、新規融資ではなく、既債務の繰り延べで対応すべきであります。今回の予算には、宿泊業に対する前向きの設備投資支援が盛り込まれていますが、こうした施策を産業振興財団のリース活用と抱き合わせにするなど、他産業にもメニュー化してはいかがでしょうか。
また、信用保証協会が保証する融資については、事業継承をした者で、事故による代位弁済の求償債務を有する者は、いかなる県の制度融資も、支援も受けることができません。コロナ禍にあっては、こうしたケースについて、必要に応じて再建や経営に関わる支援を講じることが必要ではないかと考えますがいかがでしょうか。
3点目は生活福祉資金についてです。
コロナ対応の特別措置として大きく利用が増加している2種類の生活困窮者支援資金の動向についてお尋ねします。この2つの資金はコロナで生活費が不足、または失業して困窮した場合に20万円または60万円を上限に貸し付けが受けられ、3回の利用延長で上限200万円が借りられることとなっています。返済は、住民税非課税の状況が続くか生活保護に移行すると返済免除となる仕組みのようですが、「頑張った人」に返済を求め、「頑張らなかった人」には免除すると言うのは一般の理解は得られないのではないかと思います。積極的に困窮から脱し、生活再建が果たせるよう就労支援や職業訓練などの支援を講じることはもちろん、どうにもならない時の保護への移行など伴走支援の状況はいかがでしょうか。
4点目は児童養護施設退所者等自立資金についてです。
自立資金は福祉資金と真逆で、就職や進学、資格取得など「頑張った人」には返済を免除する仕組みとなっていますが、県内の貸し付け実績についてお尋ねします。
│掲載日:2021年06月17日│
議員御指摘のとおり、新型コロナの感染拡大によりまして、飲食店のみならず、酒造業者や、酒類を飲食店に提供する酒販店の経営も厳しい状況にあると認識をいたしております。そのため、県では、飲食店での消費喚起策として、昨年度はしまねプレミアム飲食券を発行し、本年の4月以降は、県独自で食事券のプレミアム率を上乗せしましたGo To Eatキャンペーンしまねを実施しているところであります。これらの取組によりまして、合わせて約69億円相当の飲食消費を喚起していくことといたしております。
また、観光誘客を促進するために、しまねプレミアム宿泊券やWeLove山陰キャンペーンなどを実施するとともに、県内の宿泊施設を利用された県外のお客様に地酒や県産米をプレゼントする事業を継続して実施をいたしております。
こうした飲食店や宿泊施設での消費喚起によりまして、飲食店、宿泊施設のみならず、間接的に、その仕入先であります酒造業者や酒販店をはじめ、食材その他の納入事業者など関連する方々に対する事業者を支援しているという認識でございます。その支援をもってもなお厳しい状況に置かれているということは承知をいたしております。
議員から御指摘がございましたとおり、売上げが回復しない中にあっては、昨年度、大変利用いただきました新型コロナの低利資金について、据置期間の延長等の条件変更、また今後新規借入分を含めた借換えなどによる資金繰りが重要になってくるというふうに認識いたしております。しかしながら、現在そういった観点での政府の支援措置は一切ございませんので、県としては、今回の補正予算の中で、昨年度利用された新型コロナウイルス感染症対応資金について、返済計画の見直しの際に追加で必要となる、具体的には据置期間の延長等で追加で必要になります利息の一部や保証料を支援する予算案を提案させていただいております。
また、県制度融資の既往債務の借換えが可能な、当初予算で創設しましたセーフティーネット資金の新型コロナウイルス対応枠について、保証料率を一律0.3%に引き下げることも、併せて提案をさせていただいております。この資金につきましては、運転資金だけではなく、売上回復や生産性向上のために必要な設備資金にも利用可能としておりますし、また昨年度の2月補正予算、本年度当初予算においては、事業再構築や生産性向上に対する新規事業展開などへの支援も予算化しておるところでございます。
今後、こうした制度融資や補助事業の利用状況や事業者の資金繰りの状況を確認いたしまして、金融機関や商工団体の意見も伺いながら、適切に対応していきたいというふうに考えているところであります。
制度融資では、県信用保証協会が代位弁済したことにより発生します求償債務がある事業者については、原則、利用することができません。しかしながら、例外的に、例えば求償債務が本人以外の債務の連帯保証の場合、また事業再生を進めている場合などで協会が債務残高や経営状況を踏まえて特別に認めた場合は、利用が可能となっているところでございます。
議員から御指摘のありました、事業承継された方や、一旦は代位弁済を受けるような状況となっても再建を目指している事業者から、再度、制度融資を利用したいというニーズが今後増えてくるということは、予想されるところであります。県の信用保証協会や金融機関、再生支援協議会などの支援団体間で十分に検討され、必要とされた再生支援には、県として可能な対応を個別に検討してまいりたいと考えております。
まず、1回目の緊急事態宣言後に様々な指標が大きく落ち込みました昨年4月もしくは5月、次に、コロナ第3波前の昨年11月、そして、2回目の緊急事態宣言が出されました今年の1月、さらに、まん延防止等重点措置や3回目の緊急事態宣言が出されました今年の4月もしくは5月、この4つの時点におきますそれぞれの指標につきまして、コロナ禍前の令和元年度と比較してお答えをいたします。
航空機の搭乗者数につきましては、県内3空港の搭乗者数の合計で見ますと、昨年5月は96%減の3,870人、昨年11月は41%減の7万225人、今年1月は82%減の1万6,235人、今年5月は77%減の2万4,491人となっております。
JRの利用者数につきましては、JR西日本米子支社に確認しましたところ、県内の月別の動向などにつきましては提供いただけませんでしたので、提供いただけた米子支社管内の特急列車全体の利用状況についてお答えをいたします。
昨年5月は87%の減、昨年11月は39%の減、今年1月は65%の減、今年5月は74%の減となっております。
一畑電車の利用者数につきましては、昨年4月は73%減の3万5,165人、昨年11月は15%減の11万169人、今年1月は34%減の8万7,496人、今年4月は27%減の9万5,234人となっています。
高速道路の利用状況につきましては、西日本高速道路株式会社より提供を受け、県内の山陰道と尾道松江線、浜田自動車道の月別の1人平均の通行台数を集計しましたところ、昨年5月は61%減の9,797台、昨年11月は11%減の2万1,285台、今年1月は36%減の1万2,690台、今年4月は25%減の1万7,161台となっております。
県内の百貨店やスーパーの販売額につきましては、中国経済産業局の調べによりますと、昨年5月は16.7%減の43億円、昨年11月は2.1%減の48億4,100万円、今年1月は6.5%減の46億7,000万円、今年4月は3.1%減の45億6,800万円となっております。
鉱工業生産指数につきましては、平成27年度の数値を100とした指数で、令和3年3月までの公表となっておりますが、昨年5月は78.0、昨年11月は95.6、今年1月は100.8、今年3月は速報値で105.0となっております。
鉱工業生産指数を除き、総じて昨年の4月、5月に大幅に落ち込んだところから、年末に向け、利用者数などは回復傾向にございましたが、今年に入り、第3波の影響を受けて再び減少に転じ、その後、一部持ち直しつつあった指標も、直近の4月、5月にあっては、3回目の緊急事態宣言などの影響により、特に人の移動制限を受ける指標については、4月に入り減少幅が拡大するなど、引き続き厳しい状況にあります。
なお、鉱工業生産指数においては、昨年5月の減少の後、現在まで回復傾向にありますが、業種や企業間でのばらつきもあることから、今後も注視してまいります。
雇用調整助成金につきましては、議員御指摘のとおり、現在の延長幅につきましては、国のほうからは8月末まで延長の方針が示されておりますが、県の重点要望でも、また全国知事会を通じましても、まず基準及び支給額の見直しがされている中で、元に戻すように要望、さらにかつ期限の延長につきましても重点要望等で行っておるところでございます。引き続き、国のほうに、そうした施策についての延長につきましての要望はしっかりと行ってまいりたいと考えております。
またその上で、今後の雇用情勢の状況につきましては、しっかりと我々も関係団体あるいは労働局、ハローワーク等を通じて情報収集をしながら、それぞれの団体で持っている施策をしっかりと導入をしながら、流動化に対応できるような取組、そういったところはしっかりと情報共有をしながら、それぞれの方々の支援につなげていくよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。情勢につきましては、各団体とも情報共有をしながら注視をしてまいりたいと考えております。
新型コロナウイルスによる影響を踏まえ、昨年3月から始まった生活福祉資金の特例貸付けは2種類あり、そのうち、緊急小口資金の今年度5月末における貸付実績は4,205件で、貸付額は7億7,376万5,000円となっています。また、総合支援資金の貸付実績は2,124件で、貸付額は9億7,314万6,000円となっています。月ごとの貸付件数の推移としましては、緊急小口資金の貸付けは、昨年5月にピークを迎え、その後、減少をしております。また、総合支援資金の貸付けは、昨年7月から9月の間は毎月200件程度で推移した後、徐々に減少しましたが、再貸付けの開始により急増し、3月には387件とピークを迎え、その後は減少に転じております。
特例貸付けの償還については、早くても来年4月からの償還開始となりますが、償還期間が始まっても生活再建がままならず生活に困窮されている方については、令和3年度から6年度までの各年度における住民税の課税状況を踏まえ、貸付けの種類ごとに段階的に償還を免除することができます。このうち、複数回の借入れができます総合支援資金の貸付けに当たっては、生活の立て直しや自立に向けた支援を行うため、自立相談支援機関からの支援を受けることが貸付けの前提とされております。そこでの面談や相談を通じて、借受人の希望を聞きつつ、就労支援や生活保護の活用を促すなど、本人に寄り添った支援が実施されます。
県では、コロナ禍における生活困窮者の自立に向けて、きめ細やかな支援が行われますよう、実施団体である社会福祉協議会と連携して取り組んでまいります。
島根県児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業は、児童養護施設を退所した方及び里親委託が終了となった方などを対象としており、貸付けの種類としては、進学、就職に当たっての生活支援費、家賃支援費、資格取得支援費があります。この資金は、自立支援を目的としたものであり、返還免除の仕組みがあります。生活支援費及び家賃支援費は、就職した日から5年間就業を継続した場合に免除され、資格取得支援費は、就職した日から2年間就業を継続した場合に免除されることとなっております。
事業を始めました平成28年度から令和2年度までの間にこの貸付金を利用された方は7名おられ、いずれも大学等へ進学された方であり、貸付総額は1,093万7,000円となっております。このうち、大学等を卒業し就職された方が4名おられます。いずれの方も、償還免除の要件となる年数には達しておりませんが、現在も就業を継続されております。