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はじめに、新型コロナウイルス感染症についてであります。
先月は県内での感染者が大幅に増加し、対応にあたられた島根県健康福祉部や各地保健所、受け入れ医療機関の関係者の皆さんのご負担は相当なものであったろうと推察しており、そのご労苦に対し、深甚なる敬意と感謝を表する次第であります。
この1年6カ月近くにわたって、「重症者を出さない」とする方針が貫かれ、関係者の皆さんの徹底した疫学調査の結果は、国内屈指の高齢者県でありながら、昨日まで47都道府県のなかで唯一死者を出していないという結果になって顕れてきました。残念ながら、昨日初めての死者が出たとのことでありますが、国は、医療や介護の関係者には特別慰労金の支給をしており、知事から感染対応事務にあたっている県の職員にも金一封なり賞詞の発給などをお願いするところです。
まず、感染に関わる情報についてお尋ねします。
症状が発現し、PCR検査で陽性となり、感染者となると、その事実が報道発表されますが、その場合、クラスターなどのケースを除いて、居住地や年代、性別などがすべて非公表とされています。県は、感染情報について当該地域の保健所と市町村で情報共有され、感染拡大を阻止するために所要の対応をされていると思いますが、例えば、中学校で感染が発生しても校区の小学校や保育園、幼稚園などに情報が提供されず、現場では戸惑いが生じています。
ほとんどの場合、「感染したのではないか」とのうわさが先行し、近隣に疑心暗鬼を呼んでいるきらいがあるように感じます。
個人情報保護法の規定や差別、風評被害、また、検査を忌避する人が出る懸念などから情報開示が難しい側面はあるかもしれませんが、新型コロナウイルス感染症は災害に位置づけするべきものであり、災害発生の要諦が「正しい情報に基づく的確な対応」であることを鑑みれば、正しい情報を提供することで、住民が安心するのではないかと思うのです。昨年3月の発生から時間が経過し、「誰でも、いつでも感染の可能性がある。」「きちんと対応することで、生命失う危険性は低い」と言うことは共通理解となっており、情報提供について再考をお願いしたいと思います。
2点目は、ワクチン接種についてであります。
小生は5月13日に1回目、6月13日に2回目となるファイザー社のワクチン接種を受けました。本年度65歳となる人が高齢者としての接種対象者とされたことに伴うものですが、65歳を高齢者と定義するのは、昭和30年当時、男子63歳・女子67歳の平均寿命を上回る『概ね65歳を高齢者とする』概念が50年を経過し、15歳以上も平均寿命が伸長して、なお、継続していることは疑問で、今年のお正月には老人会の入会勧誘を受けましたが、少なからず、違和感を覚えました。ただ、今回のワクチン接種については、素直に聞き入れさせていただきました。
昨日の山陰中央新報に極めて詳しい接種情報が掲載されており、大要は承知しました。ワクチン接種は、順調に進んでいると見ますが、高齢者や既往症のある者の優先接種の見通しと一般接種の見込みについてお伺いいたします。県立大学では、接種の手間がないという理由で見送りが公表されましたが、看護学部を有する施設での見送りには違和感がありますが、県内の大学や企業での接種の予定をお尋ねします。
また、大規模企業、例えば県庁(地方機関も)や警察、学校等で職場接種をするお考えはありませんでしょうか。知事は県内飲食店の利用について「9人以下で90分」を提唱されていますが、多くの企業、とりわけ、県外に本拠を置く事業所や大規模事業所では、従事者に対し、飲食を伴う会合への参加を自粛するよう申し渡しており、そのことが、県内飲食店の利用低迷の一因になっています。職場接種の推進によって、多くの人にワクチン接種進めば、結果として飲食店などの利用拡大となって効果の発現が早まると考えます。この際、知事から大規模事業所(村田や日立金属など)に職場接種の取り組みを要請されてはいかがかと考えますが、所見を伺います。
3点目は、県内経済の状況についてであります。
緊急事態宣言による東京、関西、山陽地域からの移動制限により、2~3月に回復しかけた観光需要は低下しました。航空機の搭乗者数やJRの利用者数、一畑電車の利用者数、高速道路の利用状況と大店売り上げ、鉱工業生産指数等の推移を見ると、依然、移動を伴う業種については厳しいものがあると思いますが、現状をお聞かせください。また、飲食や宿泊、運輸などの業種の雇用継続を支えている雇用調整給付のコロナ特例がまもなく終了するとのことであり、辛うじて事業継続を行っている多くの事業者が一気に雇用調整に踏み切れば雇用の流動化が発生する恐れがあり、県として、市町村や関係団体と連携して、混乱が生じないよう留意していただきたいと思います。
│掲載日:2021年06月17日│
政府は、新たに6月8日から、ワクチン接種に関する市町村、地域の負担を軽減し、接種を加速化するために、企業や大学などにおいて職域単位でのワクチン接種を行う職域接種の申請受付を始められました。この職域接種では、市町村で使っておりますファイザーではなく、モデルナ社のワクチンを用いまして実施することとなります。実施に当たっては、市町村が行っている住民向けの接種に影響を与えないこと、そして会場や医療従事者などを企業や大学等が自ら確保すること、おおむね対象者1,000人以上の規模とすることなどが条件とされております。
職域接種を県の機関全体で進めようとすれば、市町村のワクチン接種に協力いただいております医療従事者を結果的に引き抜くような事態が避けられず、その影響は大きいことから、現時点では、市町村の接種計画と並行して県の機関全体での接種を行うことは予定をしておりません。
一方で、県の機関のうち、早期のワクチン接種が必要な一部の機関や職域については、市町村の住民接種に影響を与えない体制や規模の範囲内に絞って、部分的な職域接種の実施を検討しているところであります。
次に、大規模事業所への職域接種の要請につきましては、職域接種の先ほど申し上げました3つの要件を関係者に情報提供を行いまして、丁寧に説明しながら、企業等の自主的な取組を支援してまいります。
いずれにいたしましても、県に対しましても民間に対しましても、市町村の接種自体が必ずしも島根の現状として医療従事者がふんだんにおられるというわけではないというものの中で、市町村の本来的な接種を邪魔しない範囲内で進めなければいけないところが最大の制約条件であるというふうに考えているところでございます。
65歳以上の高齢者の優先接種については、市町村において、医療関係者の協力を得ながら、希望される方への接種が7月末までに完了することを目指して取り組まれており、おおむね計画どおり進んでいると認識をしております。今後、高齢者の接種の完了にめどがついた段階で、基礎疾患を有する方、一般接種と順次移行していくこととなりますが、国からは、基礎疾患を有する方について、一般接種全体を進めていく中で先行予約期間を設定するなど、優先的に接種できるよう配慮することが示されております。早いところでは6月中旬以降、おおむね7月中旬頃には64歳以下の方に向けて順次接種券が発送されますので、お住まいの市町村からの案内に従い、接種していただくこととなります。
市町村が準備する接種会場のほか、モデルナ社ワクチンを用いて、規模条件などを満たした企業や大学等において、職域単位で接種することが可能となり、県内では、6月15日現在で、国に対し5件の申請があり、5件とも承認されたところであります。このほか、実施を検討している事業者などから幾つか問合せがあり、今後さらに増加することも見込まれます。
県としましては、市町村への支援や職域接種を希望される企業などへの情報提供などを行うことにより、ワクチン接種を希望される県民へできるだけ早く円滑にワクチン接種が進むよう努めてまいります。
県における感染拡大防止の対応としては、感染された方などに御協力をいただき、行動歴などから接触者を把握し、幅広く検査を行います。これにより、次の感染をいち早く探知することができ、感染の広がりを最小限に抑えることにつながっております。
この過程の中では、患者さんにはプライバシーに関わる行動歴を隠すことなくつまびらかにしていただいております。こういった御協力をいただくためには、患者さんの個人情報が確実に守られるということが非常に重要であり、また情報の取扱いに当たっては患者さんの同意が前提となるところであります。この点からも、個人情報の取扱いには慎重な対応が必要となっております。このため、県が提供する情報の内容が具体的でなく、様々な推測や臆測がなされることもあり、不安を感じられることもあるものと考えております。
一方で、患者さんとの接触があった方などに対しては、安全と安心の両面から幅広に検査を行っており、必要な方には保健所から個別に連絡を取っているところであります。また、患者さんや濃厚接触者の方には、自らが感染源となり得るために行動を制限するということを、職場や学校などに自ら報告していただいております。
このように、感染に関わる情報については、保健所や患者さんなどから必要な方に必要な情報が伝わっているものと考えております。このような対応を行っており、連絡がない場合には冷静な対応をお願いするとともに、このことについて、より一層の周知を行い、県民の皆様の不安の払拭に努めてまいる考えであります。