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県では隠岐島前高校の存続問題を契機に始まった「魅力化」を県立高校全体に拡大する「高校魅力化」に取り組んでおり、今後、さらに1歩進めて、「教育魅力化」に取り組む姿勢に期待しています。学力テストの結果はイマイチですが、全国から200名を超える公立高校への「しまね留学」が実現し、定員割れに悩む高校や存置する地域には大きな自信と可能性を見せたことは評価すべきだと思います。
1.初めに、県立高校への他県からの入学の状況(平成20年からの推移)をお知らせください。(教育長)
2.私立学校では、以前から県外からの受け入れを行ってきていますが、その状況についてお尋ねします。(総務部長)
3.本来、遠隔地からの通学や季節的な通学困難を支援するために整備された県立学校の寄宿舎、学校寮ですが、学校存続のために、他地域からの生徒を受け入れする宿舎としての役割が求められる状況が生じていますが、施設の整備あるいは確保状況と、入寮者の状況について伺います。(教育長)
4.私立学校の状況はどうですか。(総務部長)
5.県立学校が存置する地域(市町村)から学校の存続を要請される一方で、出生数が減少する中で、現状の県立学校を存続させるためには、他県からの生徒受け入れを選択する以外に方途はありません。ただ、出生数が減少する中で、現状の学校を存続させるとなれば、定員減や学級減は必定で、結果、教員数は減員になり、寄宿舎や学校寮の拡充となれば(舎監など)教員の負担は大きくなり、学校運営に携わる者からは懸念の声が上がります。県が学校の魅力化(教育の魅力化)を市町村と一体で進める理由は、こうしたところにもあると考えますが、市町村からのリクエストが強い寄宿舎や学校寮を含めた滞在施設の整備についての考えをお尋ねします。(教育長)
6.今後、出生数の減少に対応した学校運営(存続を含めて)に関する問題をどのように議論するお考えですか。(教育長)
│掲載日:2021年09月24日│
県立高校への他県からの入学者数は、平成20年度は全体で53名でございました。そして、22年度から中山間地域、離島の高校を中心に積極的な県外募集を進め、徐々に県外からの入学者数が増えてきております。22年度が54名、25年度が102名、28年度が184名、直近の3年間では、令和元年度が195名、2年度が199名、3年度が過去最大の230名と推移してきております。
県立高校の寄宿舎は23施設ありまして、共同利用も含めまして24校の生徒が利用しております。収容定員は合計で1,227名、入居者数は5月1日現在で752名となっております。また、これとは別に地元市町村が地域の交流研修施設等を活用して高校生を受け入れております。このような施設は、奥出雲町、川本町、邑南町、吉賀町、海士町の5つの町において7つの施設が整備されております。収容定員は合計で231名、入居者数は198名となっております。
私立高校への他県からの入学者数は、平成20年度は全体で163人でした。スポーツなどの部活動による県外募集を進め、さらに県外からの入学者数が増えています。具体的には、25年度が221人、28年度が315人、以降は300人台で推移しており、直近の令和3年度が317人となっております。
私立高校の寄宿舎については、10校のうち、借り上げを含め8校が設置しております。収容定員は合計で1,355人、入居者数は5月1日現在で949人となっております。
県全体の中学卒業者数の数が減少する中で、特に中山間地域、離島の高校については、生徒同士が互いに切磋琢磨し、学び合うことができる環境をどのように維持していくのかが課題であります。議員御指摘のように、通学圏内で高校に進学する年齢の子どもたちが少なくなれば、高校を存続させることは難しくなると考えております。
中山間地域、離島において高校を維持発展させるためには、高校に進学する年齢の子どもたちを増やしていく必要があり、親子でのUターン、Iターンのみならず、高校生だけでの受入れも進めていく必要があります。その際、移住してくる高校生は、市町村の住民の一人であり、その住まいの確保につきましては、基本的に市町村において地域住民の住宅施策として取り組んでいただく必要があると私は考えております。先ほど申し上げたとおり、既に5つの町においては、町が主体となり、交流研修施設等を整備し、高校生の住まいとして活用する取組が進んでおり、これに対して県費で運営費の補助を行っております。県教育委員会といたしましては、今後とも、地元市町村に主体的な役割を果たしていただきながら、中山間地域、離島の振興やUターン、Iターン施策を担当する地域振興部、住宅施策を担当する土木部とも密接に連携して、住まいの確保について検討を進めてまいりたいと考えております。その際、教員の負担を軽減するという視点も加えながら運営方法についても検討してまいります。
各地域の将来を考えたとき、県内各市においてそれぞれの通学圏内に普通科高校を配置しておりますが、この形が維持できないと、その地域の子どもたちの学びの選択肢が制限されるだけでなく、子育て世代となる世帯の将来の選択肢も制限されることにつながりかねません。
例えば、隠岐島前地域では、過去に地域の高校が1学年1学級となり、このままでは地元の高校がなくなってしまうかもしれないという危機感が地域全体に広がりました。高校がなくなれば、15歳から18歳人口はゼロとなり、島を出ていったまま地元には帰ってこないかもしれない、さらには子育て世代を中心に本土に生活の本拠地を移すことを考える住民も増えるかもしれない、もっと言えば、子どもが生まれたら島を出るということにつながりかねない、このような思いから地域が一体となって島外からの生徒の受入れを積極的に進めてきたと伺っております。
このように、それぞれの通学圏内に普通科高校を配置する体制を維持できなくなることは、生徒にとって大きな問題であることはもちろん、地域にとっても深刻な問題であると考えております。一方で、先ほど答弁しましたように、地域において高校に進学する年齢の子どもたちが少なくなれば、今までどおりの高校の配置を維持することは難しくなります。したがいまして、今後も通学圏域の普通科高校の配置につきましてその継続が実現できるよう、各市町村、教育委員会はもとより、市町村長をはじめ定住や地方創生の担当者ともこの点を共有しながら、子どもたちにとって望ましい教育環境をいかに整えることができるのか、議会とも御相談しながら考えてまいりたいというふうに思います。