県議会だより

Reports

令和3年11月議会一般質問(4)

通学に関わる支援について

義務教育学校は概ね4kmを目安にスクールバスなどの登校支援が執られていると聞いております。県立学校の多くは義務教育学校ではないため、今日まで特別支援学校など一部を除いて、登下校に関わる費用負担は自弁が原則となってきておりますが、事実上の高校全入時代となり、授業料は原則公費負担となり、大学などの上級学校進学にも大幅に給付型の奨学金が措置されるなど、『義務ではない学校』に通う学生・生徒に対する支援のあり方は大きく変化をしてきております。
県教委は県内の県立学校に通学する生徒の通学に関わる経費負担の実態について調査されていると思うのですが、(1)令和3年度において自宅からの通学時間が30kmまたは1時間を超える者や下宿、寄宿舎の利用をしている児童、生徒数をお聞かせください。(教育長)
その上で、(2)生徒自宅周辺に学校が無く、かなりの時間をかけて公共交通機関を乗り継いだり、下宿をせざるを得ない生徒らへの支援についてどのような配慮が行われているのか、とりわけ、学校の統廃合で学校が廃止された地域や離島から専門高校を志望する生徒への支援などについては、どのような支援が高じられているのかお聞かせください。(教育長)
従前、通学に関わる時間と経費および学力習得については受益者負担が社会的合意であり、そうしたことに対する不平・不満の声が大きいとは認識しておりませんでしたが、国の方針で、授業料が公費負担となったことで、生徒間の通学時間と交通費負担の不均衡(不公平)につての不満が生じたのは皮肉なことだと思います。そこで、お尋ねしますが、(3)行政施策によって生じた不均衡にはついては何らかの手立てが必要と考えますが、教育長のご所見をお尋ねいたします。(教育長)
知事は島根県で開催される予定の国民スポーツ大会で、天皇杯・皇后杯の獲得を目指すと表明されており、そこに向かって競技力を強化し、島根のスポーツ振興を図るとする方向には全く異存はありません。そこで、(4)国民スポーツ大会をにらみ、競技力の向上のため、遠隔地の学校に通学する必要が生じる者については、義務教育の段階から支援を講ずる必要があると考えますが、どのような取り組み(支援)が必要とお考えになるのか、自らも永年、レスリングの競技指導者としてご活躍されてきた教育長のご所見をお尋ねいたします。(教育長)

野津建二教育長答弁

児童・生徒の通学等の支援について

全日制の県立高校において、県が設置する寄宿舎を利用している生徒は今年5月1日現在で752人、このうち県内の生徒は419人であります。県の寄宿舎とは別に、地元市町村が整備した交流研修施設を住まいとして利用している生徒は198人、このうち県内の生徒は46人であります。また、民間の下宿やアパートなどを利用したり、親戚の家に下宿している生徒は119人、このうち県内の生徒は82人であります。以上の自宅以外の住まいを利用している生徒は、全体の1万2,728人のうち合計で1,069人、このうち県内の生徒は547人であります。
自宅から通学している生徒については、通学時間や通学距離の調査は行っておらず、具体的なデータは把握しておりませんが、例えば部活動の関係で遠距離通学をしている生徒や、専門高校や定時制高校に通学する生徒の中には、通学距離が30キロメートルを超えたり、通学時間が1時間を超える生徒もおります。
なお、小中学校の児童生徒の状況については、全体としては把握しておりませんが、スポーツ留学のため中学生が下宿している例を承知しております。
遠距離通学をしたり下宿等を利用してる生徒への配慮については、これまでの県立高校の再編成においては、近隣の高校への通学が可能であることを前提として計画を策定し、統廃合などを行ってきたところであり、通学支援につきましては、移行措置を除いて特段行ってきておりません。
また、離島をはじめ、自宅から志望する専門高校などへ円滑に通学することが困難な生徒に対しては、教育の機会を保障するため、高校35校のうち、共同利用も含めて24校で寄宿舎を設置しています。寄宿舎では、自宅においても必要となる食材費や光熱費などの経費は徴収しておりますが、いわゆる部屋代に類するものは徴収しておらず、経済的負担にも配慮しております。このほか、地元市町村が整備した交流研修施設における生徒の受入れに対しては、県として運営費を支援することで生徒の経済的負担に配慮しております。
県立高校の通学に関する配慮については、国の制度では、高校授業料の無償化に加え、低所得世帯に対して授業料以外の教育費を支援する給付金の制度が設けられております。このため、全体としては、通学を含めた家庭の経済的負担の軽減、経済格差による教育機会の不均衡を是正する措置が取られていると考えております。国に対しては、引き続き、この給付金制度の拡充の要望を行ってまいります。
このほか、県教育委員会としましては、自宅から志望する高校へ円滑に通学することが困難な生徒のために、現在の県寄宿舎を維持するとともに、知事部局と密接に連携しながら、地元自治体との役割分担の下で、高校生の住まいの確保のために必要な取組を行ってまいります。

野津建二教育長答弁

国民スポーツ大会を見据えた支援について

2030年に本県で開催予定の第84回国民スポーツ大会に向けた競技力向上のための子どもたちの育成につきましては、当面、中学、高校の段階では学校での部活動を中心に取り組んでいく必要があると考えております。さらに、部活動にない種目や小学校段階においては社会体育で取り組み、全体の底上げを図っていく必要がございます。
しかしながら、例えばレスリング競技は競技人口の絶対的な少なさであるとか指導者が県内に偏在していることなど、ジュニア層の育成においては競技、種目によって抱える課題は多様であります。議員御指摘の選手をある程度集めて育成していく方法などを含め、競技、種目別にどのような選手強化が必要かなどについて今後よく検討してまいります。それに併せて、御質問の義務教育段階からの通学支援の在り方についても研究してまいりたいと考えております。

過去の投稿

園山繁の活動日誌