県議会だより

Reports

令和4年5月定例県議会一般質問(2)

コロナ禍における問題について

コミュニティの深さを示す典型的な事象は生き死になどの喜怒哀楽をともにするありようですが、コロナ禍でいちばん変容したことは葬儀(冠婚葬祭)の簡略化です。
「人の生き死に立ち会えない」、いわゆる「喜怒哀楽を共にできない」ことが定着しつつあることに危惧を覚えます。家族が臨終に立ち会えない、隣保の人々が悔やみに行けないなどの事象が見られ、家族葬や直葬は珍しいことではなくなりました。「人々が助け合って、ともに暮らす」という「田舎の良さ」が消失するおそれがあり、

(4)『死』に向き合ってこそ『生』を意識し、生きていることに感謝し、先人を偲ぶということにつながりますが、「生死」に対する意識の変化は、弔いや先祖などに対する意識を変容させ、家や故郷などの継承・存続を脅かすおそれはないでしょうか。(知事) 世帯主間の情報交換やコミュニティづくりは、毎月行われてきた定例常会という集落(自治会)の集まりが主体ですが、これも中断しているところが多いと思います。高齢化の進む中山間地域などでは、核家族化によって高齢者だけの世帯が増加していますが、週末に行われてきた市街地に住む子や孫の帰宅や訪問が途切れてきており、さらに、地域の運動会や祭礼などの行事の中断は世代間の交流機会を著しく縮小させています。地域の伝統芸能や習俗の継承も危惧されますが、(5)地域の伝統文化や習俗の継承についてどのような対策を講ずるのかお尋ねします。(知事)

集落内の情報交換の希薄さは、複数の集落や地域で取り組む共同作業、例えば除草や野生鳥獣の駆除などについて支障が生じてきています。野生鳥獣の被害を食い止めるためには、駆除をはじめ防護柵やネットの設置が必要ですが、共同歩調が執れずに獣害が増加している地域が増加しています。近年、県内の中山間地域ではイノシシ、シカに加えて猿、クマの被害が増加しているとの声が強くなってきています。

(6)鳥獣対策や除草、海岸地域での漂着廃棄物の除去などは個人では難しく、地域での共同作業に依存する実態がありますが、一斉清掃やボランティア活動など地域活動にかかわる地域の協力体制をどのように確保していくのか知事にお尋ねします。(知事)

また、(7)山間地域で増加する猿の被害の増加に対しどのような対策が必要だとお考えになりますのか所管の部長にお尋ねします。(農林水産部長)

JR西日本はローカル線の存廃を検討する姿勢を見せていいますが、コロナ禍での収益悪化に伴う交通ネットワークの維持存続が大きな問題になりつつあります。県内の路線バスの大半は赤字で、収支への行政支援や設備投資への支援で存続が図られ、さらに悪化した地域では行政や3セクなどによる取り組みが進められてきています。
国鉄から民営化された時のいきさつからはJR西日本の姿勢には、抵抗なしとは言えず、コロナ禍を理由にした廃線など言語道断です。
まずは鉄道事業法の改正で旧国鉄の民営化で存続したローカル線の存廃を事業者が一方的に決定できないようにする必要がありますが、人口が減少する中で、鉄道については、JRについても一畑電車と同様に国に上下分離などの抜本的な方策による存続を求める時期が来たのではないかと思います。(8)JR西日本の路線収支の公表をうけて、知事は路線の維持・存続などについて迅速対応をされていますが、島根県の交通ネットワークの維持存続についてどのような対策を講ずるおつもりなのか知事にお尋ねします。(知事)

丸山達也知事答弁

コロナ禍に伴う葬儀の簡略化について

葬儀につきましては、やはり残された親族や親しい知人が故人をしのび、思い出等を思い起こしながら喪失の悲しみを乗り越えていく重要な場であると考えております。
コロナ禍以前から、社会構造の変化、核家族化等々に伴いまして、式自体の簡素化は進んでいたところでございますけれども、今般のコロナの流行を契機といたしまして、家族葬として参列者を限定するなど、小規模化、簡略化の流れが一層強まっていると感じているとこでございます。
これは、望まずしてやられてる、コロナがなければこんなことやらないという要素と、これまでの流れに沿って簡略化をしていこうという2つの流れが合わさっているというように思っておりまして、ある意味後者の、これまでの一定の流れの部分というのは、コロナの解消後もある程度継続をするのではないかというふうに思っております。つまり、大きな意識というのは、自分の身内の際に来ていただいたので行かなきゃいけないという、ある意味責任感といいますか、義務感に対応して、御高齢の方も長時間参列されないといけないという状況がなかなか厳しくなっているというところというのは、徐々に簡略化されると思いますけども、やはり近しい方々、来ていただいたからというだけではなくて、本当にお世話になったからという形で、非常に故人との関係が深い方については、やはり流れ焼香等々でお別れするだけでは、それでは不十分だと考える方々については、親族等と一緒に葬儀に参列されるというふうになってくると思いますので、そういった故人の方とのお付き合いの深さによって、戻っていくところ、戻っていかないところというのがある程度分かれてくるのは避けられないのではないかというふうに思っているところでございます。
何分、行政とかがこういうふうにすべきだというふうに求めていく分野でもないと思っておりますので、この点については一定の状況の変化にお任せするしかないのではないかというふうに考えてるとこでございます。
一方で、コミュニティー機能の喪失、弱体化ということに対しましては、先ほどのような対策を講じまして対応していきたいというふうに考えてるとこでございます。

丸山達也知事答弁

地域の伝統文化や習俗の継承について

島根の各地域では、長い歴史の中で伝統文化や豊かな暮らしが営まれてきたところでございますけれども、中山間地域を中心にしまして、担い手不足などに加えて、コロナによります接触の機会を減らしていくという観点から、伝統文化や習俗の継承が、披露する機会や練習の機会自体が少なくなったということによりまして難しくなっている状況にございます。
この伝統文化等を継承していく上では、まずは将来の担い手となり得る子どもや若者に、技術だけではなく、その歴史文化に込められた思いや誇りなども伝えて、子どもや若者の受け継ぐ意識を育んでいくということが重要であります。
また、これらの文化、習俗を広く紹介することで、地域内外の方々に興味を持っていただき、そういった興味関心の高いものについて参画していくことについての意義を高めていくということも重要であると考えております。
県といたしましては、地域の取組に対しまして、担い手の育成をはじめ、地域外の人々へのPRや参加の呼びかけを市町村と共に行うなど、適切な支援を選択して提供していきたいというように考えてるとこでございます。

丸山達也知事答弁

地域の協力体制の確保について

鳥獣害対策や除草、海岸での漂着物除去などにつきましては、地域や集落全体の生活に密着した課題でありまして、住民の方々が協力し合って取り組んでいただいているところであります。
議員から御指摘をいただきましたとおり、コロナ禍におきましては、コロナ禍前に比べまして活動に制約が生じているという状況にございますけれども、地域の維持にとって必要不可欠な共同作業、例えば農地の畦畔の草刈り、水路の泥上げ、それから鳥獣被害の防止対策など、コロナ禍におきましても協力体制を整えて活動を継続されているというふうに考えております。こうした共同作業やその体制づくりというのは、住民の皆さんが自ら取り組んでいただくことが基本でございまして、行政としては、共同作業に取り組まれている地域に対しまして、農業の直接支払いや鳥獣害の技術指導などの支援を行っているとこであります。
地域の住民の皆様には、このコロナ禍ではございますけれども、引き続き感染症対策との両立を図りながら、地域の維持に欠かせない不可欠な共同作業やその体制づくりに取り組んでいただきたいと考えてるとこでございます。

丸山達也知事答弁

島根県の交通ネットワークの維持存続について

島根県内の公共交通につきましては、県民の日常生活を支えます路線バスや一畑電車、隠岐汽船などの地域交通と、大都市や地方を結ぶJRや航空路線から成っておるとこでございます。このうち地域交通につきましては、国や関係市町村とともに、運行費や設備導入に対する支援を行い、その運行を支えているとこでありまして、JRや航空路線につきましては、関係市町村と連携し、利用促進の観点から、この路線の維持充実に取り組んでるとこであります。
これらの公共交通につきましては、いずれもコロナ禍の影響によりまして厳しい経営状況が続いておりますので、令和2年度以降につきましては、通常の支援に加えまして、地域交通については、高速バスや空港連絡バスを対象に加えた上で運行費や設備導入等に対する特別な支援を行うとともに、航空路線につきましては、利用促進や着陸料の減免の拡充を行うなど、事業継続を支えているところでございます。
一方で、JR路線につきましては、JR西日本がコロナの影響で収益が大幅に悪化していることなどを理由としまして、昨年来、県内の路線の大幅な減便を行ったところでございます。また、4月には、利用者の少ないローカル路線の経営状況を公開しまして、路線の在り方について地元との議論を行う意向であるというふうに表明されており、県内路線の維持存続には、改めて強い危機感を持ってるとこでございます。
そこで、JRに関しましては、昭和の終わりに行われました政府の国鉄改革において、24.2兆円という多額の国民負担を基にして債務を軽減されて発足したこのJR各社の経緯を踏まえると、JR各社が地方路線を含めて引き継いだ事業を円滑に運営することは、国民から求められる社会的な責務であるというふうの考えておりまして、仮にJRが地方路線を構造的に見直すのであれば、その内容や範囲は国鉄改革を実施した政府からどこまで許容されるのかという、その範囲が示されるべきであり、その上でJRが自力で地方路線を維持できなくなったのであれば、これも国鉄改革を設計実施した側である政府が、そういった観点から、地方路線に対して経営支援を行うことを検討すべきだというふうに考えてるとこでございます。
私はこれまで、こうした考えを様々な機会を通じまして政府や国会議員の方々に伝えてまいったとこでございます。先日、政府が公表しました、いわゆる骨太の原案の中では、国が中心となって交通事業者と自治体が参加する新たな協議の場を設けることや、規制見直しや従来とは異なる実効性ある支援などを実施することなどが盛り込まれております。
私が求めてきました国の関与について一定の反映がなされたものと考えておりますけれども、引き続き全国知事会や島根と同様の状況にある道府県と連携しまして、政府やJRに対して働きかけを行っていく考えでございます。
島根の公共交通つきましては、島根の暮らしや仕事、また県外からの誘客を含めた観光振興、地域振興においても重要な役割を果たしていただいております。今後も各事業者の状況をよく把握しながら、適切に対応することによりまして、島根県内の交通ネットワークが適切に維持、運営、継続されるよう努めていきたいというふうに考えてるとこでございます。

西村秀樹農林水産部長答弁

野生のニホンザルの被害対策について

近年、猿による被害が増加しており、令和3年度に中山間地域研究センターが行った住民への聞き取り調査では、現在精査中ではありますが、猿の生息域が広がっているとの報告を受けております。
猿の被害対策につきましては、出没初期の段階から県の鳥獣専門職員が積極的な技術支援を行っております。猿は、学習能力、運動能力が高く、昼間に群れで行動する特徴があり、複数人での追い払い体制の整備、複合電気柵、これはイノシシ用ワイヤーメッシュ柵の上に電気柵を置くものでありますが、これの設置による防除、大型捕獲おりによる群れの捕獲等の被害対策が有効と考えております。
県としては、地域ぐるみの鳥獣被害対策の取組の中で、こうした猿に有効な対策を普及し、猿被害対策を進めてまいります。
また、鳥獣害対策一般に言えることですが、特に猿の被害防止に当たりましては、まずは放任果樹などに誘引された群れに集落を餌場だと学習させないことが重要と考えており、県としましては、市町村と連携し、様々な機会を捉えて、こうした無意識の餌づけの防止についても啓発してまいります。

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