県議会だより

Reports

令和4年9月月議会一般質問(6)

「ブルシット・ジョブ」について

「ブルシット・ジョブ」について伺います。
近ごろ、「ブルシット・ジョブ」と言う言葉を聞きますが、その意味するところは何でしょうか。
また、県庁でブルシット・ジョブにあたる職種や思い当たる部署がありますか。
ところで、TVや映画のドラマや時代劇で「昼行燈」として一見無駄・無能のように見える者が実は「キレ者」で、一たび何かが起きるとその処理にあたるとする姿が描かれます。経費削減や行革で姿を消した職種やアウトソーシングされた分野に職場に必要不可欠な要素を持っているものはありませんか。(総務部長)
行政においても一般企業においてもクレーム処理は極めて大事な業務ですが、その重要性についての認識を伺うとともに、その対処方法を知事部局、教育委員会、警察の組織別にお尋ねします。
同様に、職場の改善には「内部通報」と同時に「外部意見の導入」が不可欠ですが、各職場で、どのような取り組みがされていますか。(総務部長、教育長、警察本部長)
「職員が働きやすい優しい職場」は決して「甘やかす職場」ではありません。学校や家庭で「叱るという場面が少なくなり、パワハラと見做される危険性があるとして「鍛える」ことを躊躇することも少なくありません。「打たれ弱い」若者が増えていると言われる今日、職員のスキルを高め、職務に邁進できる環境を作るためにも、職員を支える役割を担う職務が必要だと考えますが、そうした役割をどこに求めますか。(知事)
「遊び・ムダ」の効用についてどう考えますか。例えば、自動車のハンドルに遊びがないとクルマは横転する可能性が強いのですが、県職の職場における「遊び」とは何だとお考えになりますか。(知事)

丸山達也知事答弁

職場と業務の改善について

県組織として職務遂行能力を維持向上させていくためには、例えば担当者が管理職になったときに、部下が自分と同じぐらいの能力を持ってもらわないと困るわけです。したがいまして、自分に、上司部下の関係にならずとも、先輩後輩といった関係の段階から、やはり人を育てるということが大事。これは自分のためにも大事ですし、県政の仕事にとっても大事です。そういったことでありますので、結局のところは全般的にいうと、全ての職員が自分よりも経験の短い職員に対して伸ばせるところを伸ばしていくという視点で当たっていくことが必要ですし、それを完全に職責として担うべきは管理職、私も含めた管理職員であるというふうに思っておりますし、専門知識を提供するために必要になるのは研修所、職場研修等々の充実も大事だと思っております。そして、議員が質問の冒頭で申し上げられたとおり、最近の若い方々の意識の変化ということにも対応しなければいけませんので、当然指導といいますか改善を求める求め方というのは昔ながらのやり方ではいけません。一方で、指導を受ける側も、やはり三人寄れば文殊の知恵という言葉がありますけども、自分だけの物の見立てでは完璧ではないということを念頭に置いて、他者からアドバイスをもらえるというのは自分が改善できるチャンスだと思って、ある意味自分で一回受け止めて、そういうことができないかというふうに考えるいいきっかけであるというふうに受け止めて自己改善に努めていくということを、決して自分のやってることについての改善の提案のあることが自分を否定されてることではないというふうな、そういう受容性を持って受け止めて自己研さんに努めてもらう、そういう双方での環境をつくっていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
やはり今ある仕事をやるだけで手いっぱいだということが遊びがない状況だというふうに思います。当然、今ある仕事の、今やってる仕事の背景にあるもの、その向こうに住民の皆様の姿をイメージする余裕、そして当初想定していた状況と違ったときの変化に対応できる能力ということを発揮するためにも、今言われた遊びのないかつかつの状況で仕事をしていくということについては限界があると。 日々の業務以外の多様な考えに触れたり、専門的な知識を習得する余裕が必要でありますし、状況の変化に対応できる一定の余裕を持っておかなければいけないということでございまして、したがいまして遊びのない状況が常態化をしていく、それが組織全体で広がっていくという状況については避けなければいけませんので、そういう状況に対応できるより幅広く物事を見た上で担当業務を進めていく、そういった一定の余裕を持った形、余裕といいますか、一定の余裕ですかね、遊びというか余裕を持って仕事ができるような環境に努めていかなければいけないというふうな認識でございます。

籏野敏行総務部長答弁

ブルシット・ジョブについて

ブルシット・ジョブとは、アメリカの人類学者デビッド・グレーバー氏が自身の著書の中で示した言葉で、同書によりますと、ブルシット・ジョブとは被用者本人でさえ、その存在を正当化し難いほど完璧に無意味で不必要で有害でもある有償の雇用形態とされております。
ブルシット・ジョブを無意味で不必要な仕事と捉えますと、そういったものはないと考えております。他方で、毎年度行っております組織や業務の進め方の見直しは、状況の変化に応じて行っているものですので、県組織に業務を見直す余地が全くないということではないと考えています。
財政健全化に向けた行政の効率化、スリム化の取組の一つとして、平成10年度から29年度まで定員削減に取り組みまして、内部管理事務の合理化、組織の簡素化、効率化、事務事業の見直しなどを行ってきました。その後も予算編成を通じた事務事業の見直しや業務の見直しなどを行っているところです。例えば、内部管理事務の合理化で見直したものといたしまして、以前は各部局の予算経理グループで経理事務を行っておりましたが、総務事務センターに集中化したことなどが上げられます。こうした見直しは、大きな影響なく効率化できていると考えております。
アウトソーシングにつきましては、業務の効率化の観点もございますけども、他方で民間ノウハウの活用という観点も踏まえて行っているものでございますので、アウトソーシング先を適切にマネジメントするとともに、県にノウハウが蓄積するよう努めているところでございます。
新たな課題に限られた人員で対応していくためには、既存業務の見直しは不可欠です。業務の合理化や集中化、アウトソーシングに当たりましては、個別にその手法が適切か検討し、対応してまいりたいと考えています。

籏野敏行総務部長答弁

クレーム処理について

電話や窓口での対応は、県民の生の声を理解することができ、こうした声を県の施策の見直しなどに生かすことができるものとして大変重要なものと考えております。
また、丁寧に対応することで、県組織に対する県民の皆様からの信頼を高めることにもなると考えております。県民の皆様は、様々な意見や疑問をお持ちであるという意識を持って誠実に対応していくことが必要と考えているところです。
職場改善に向けたアプローチには大きく2つに区分できると考えておりまして、1つ目は、県の施策等を県民ニーズにより合致し、効率的な方法に見直すという事務事業や業務の進め方の改善、そして2つ目は、柔軟な働き方を可能とする制度や仕組みを整備するとともに、相談しやすい体制を構築するなど、職員が働く環境を整える改善であります。
各所属におきましては、この2つの職場改善を話し合う取組を実施しておりまして、内部からの自発的な取組という形でやっているところでございます。
外部の意見というものにつきましては、知事への提案箱、それから県民の意見を聴く会など、事務事業や業務の進め方の改善を進める場面で、このような場面でいただいた御意見を活用しているということでございます。

野津建二教育長答弁

クレーム処理について

学校には、保護者や地域の方々から日々多くの御意見が寄せられております。保護者や地域の方々とのコミュニケーションがうまくいかないと、学校の様々な取組が円滑に進められないばかりか、学校が課題を抱えている場合には状況が悪化することにもなりかねません。学校が学校の方針や取組を丁寧に説明し、多様な意見等を参考にしながら学校運営に生かしていくことが重要であります。学校では、こうしたことを十分に踏まえながら、まずは意見、要望等の内容をよく聴くこと、初期対応を迅速に行うこと、1人の教職員が抱え込まず組織として対応することなどに努めております。
学校では毎年度、学校教育法に基づきまして自己評価と外部評価になりますけど学校関係者評価から成ります学校評価を実施しております。この結果を受けて学校運営における取組の改善を図っております。これらの結果や改善方法については、学校だよりやホームページなどを使って、広く保護者や地域住民に公表しております。
そのほかにも学校運営協議会制度、いわゆるコミュニティ・スクールを導入し、学校運営に地域の声を積極的に生かし、地域と一体となって特色のある学校づくりを進めている学校もございます。県立学校においては、来年度までに全ての学校に設置することとしております。
また、日常的にも児童生徒の連絡帳の活用や地域の各種会合等への参加など、保護者や地域の声が学校へ届けられる場面は様々あり、各学校においては、そうして届けられる声を聴きながら、日々の取組や学校運営について改善を図っております。

中井淳一警察本部長答弁

クレーム処理について

警察職員の職務執行に対する苦情につきましては、組織の業務改善の契機となり得るものであり、県民の目線に立った警察行政を推進するため、適切に処理することが重要と考えております。そのため、苦情申出制度というものを設けておりまして、こうした苦情を受理した場合には警察本部が中心となって事実関係の調査を行い、申出者に回答するとともに、必要に応じて業務改善につなげていくところでございます。
外部意見の導入につきまして、まず県警察の業務運営につきましては、県警察を管理している島根県公安委員会から適宜御意見、御指導をいただきながら進めているところです。
また、島根県公安委員会から委嘱された地域の皆様で構成される警察署協議会をはじめとして、会議の中で構成される機関からも様々な御意見を伺い、業務運営や職場環境の改善に努めているところであります。

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