県議会だより

Reports

令和4年9月月議会一般質問(5)

「地方創生」情報発信について

次に情報発信についてお尋ねします。先日の山陰中央新報の一面に掲載された松江、出雲の周辺部人口の減少記事には、将来を憂うる人々に大きなインパクトがありました。
はじめに、社人研の結婚に関する報告の内容について全国と島根県の状況をお聞かせください。(地域振興部長)
次に、島根県の結婚件数と出生数の推移について、昭和30年と昭和60年、平成27年、令和2年、および令和3年の数値をお聞かせください。また、近年のコロナ禍の影響については、どのような分析を行っていますか。(健康福祉部長)
ところで、ふるさと島根定住財団が設立されて以降のU・Iターンの状況と近年とみに語られてきた関係人口の構築についてどのような取り組みがされているのかお聞かせください。(地域振興部長)
島根県では、平成20年からの「神々」の情報発信が行われ、首都圏を中心に「しまね」の認知度が向上したように感じていますが、その効果についてお尋ねします。
また、日本橋から日比谷に移った島根館に象徴されるように、近年から「美肌」をテーマに掲げた情報発信の取り組みがありますが、その狙いと効果についてお聞かせください。
過去、何度か質疑で質したように、今後は行政施策としてSDGsへの対応強化が求められ、情報発信にもそうした観点が求められると思います。観光地の標識ひとつをとっても、また食材や今まで使い捨てだった露店の食器など、発想の転換が求められますが、そうした取り組みについてどのようにお考えになりますか。(商工労働部長)
今年は、坪田愛華さんの創作漫画である「地球のひみつ」が刊行(愛華さんの没後)されてから30年が経過し、県内の青少年が参画する「ミュージカルあいと地球と競売人」の公演も回を重ねています。今年は11月に松江と出雲で5回の公演が計画され、従前から島根県も積極的に支援を行ってきていますが、30年を経過して、なお、その内容は輝きを増すばかりです。
「地球のひみつ」と「あいと地球と競売人」を島根県発のSDGsの象徴として生かす考えはありませんか。(知事)

丸山達也知事答弁

「地球の秘密」と「あいと地球と競売人」の取組み支援について

議員が御紹介になりました「地球の秘密」につきましては、平成3年、斐川町の坪田愛華さんが12歳でお亡くなりになる直前に描き上げられた漫画であります。その中では、地球の歴史、また自然の仕組みに始まりまして海洋汚染、酸性雨、オゾン層の破壊、森林の乱開発といった地球環境に関する諸課題が丁寧に紹介されておりますし、地球を守っていくためには、先進国、途上国の差をなくしていくことや、世界中の国や団体が協力していくこと、そして生活者である我々一人一人が生活の中で必要な取組を着実に進めることが大切だということが分かりやすい言葉で示されております。このような考え方というのは、人や国の不平等をなくしていく、またパートナーシップで目標を達成しようという今のSDGsの目標に完全に通じるものでありまして、これをSDGsが採択されました2015年よりも20年以上前、なおかつ今は一般的になっておりますけども、平成3年でありますから、課題解決学習といったものが学校でほぼ取り入れられていなかった時期に12歳の愛華さんがきちんと主張され表現されているということ、その先見の明に感服をする次第であります。
また、この漫画をモチーフにしましたミュージカル「あいと地球と競売人」もキャスト、スタッフ、ほとんどが県民が担っていただき長い間多くの方々に愛されていると思います。
この2つ、「地球の秘密」、また「あいと地球と競売人」、いずれも以前にも増してこの意義が高まっていると考えております。例えば、県の公式のSNSアカウントでこれから世界の主流となります若い世代に向けて愛華さんの思いやミュージカルを紹介するなど、県内外に発信していきたいというふうに考えているところでございます。

田中麻里商工労働部長答弁

首都圏における島根県の認知度向上について

県におきましては、古事記編さん1,300年や出雲大社の平成の大遷宮を契機に、平成23年度から神々の国しまねプロモーションとして神話博しまねの開催やJR6社による山陰デスティネーションキャンペーンなど、大規模イベントを通じた情報発信を展開いたしました。
その後、平成25年度からは、タレントのDAIGOさんやEXILEのメンバーなど、著名人を起用し、ご縁の国しまねプロモーションとして、首都圏でのプレス発表会やプロモーションビデオの制作、ポスターによる交通広告などを展開してまいりました。
現在、県で実施しております首都圏での観光認知度調査につきましては、平成25年度から開始しており、神々の国しまねの認知度は調査しておりませんが、ご縁の国しまねの認知度は、平成25年度の6.7%から令和3年度には15.3%に上昇し、島根といえばご縁の国として一定程度定着していると考えております。
また、島根への旅行意欲の割合も、平成25年度の52.9%から令和3年度には68.4%に上昇するなど、島根への関心が高まっていることがうかがえます。
観光入り込み客数につきましても、平成19年から23年までは、年間2,800万人程度でしたが、平成24年には約2,900万人となり、平成25年には平成の大遷宮の効果もあり、約3,600万人まで大幅に増加しました。その後もコロナ禍前までは約3,300万人程度で推移し、入り込み客数の増加が図られたところです。
こうしたことから、神々の国しまねあるいはご縁の国しまねによるプロモーションの効果はあったものと考えております。
島根県の湿度の高さや日照時間の短さなど、ほかではまねできない肌に優しい気象環境の下で良質の温泉や地元ならではの食を堪能し、心も体もきれいになる美肌の旅は、幅広い年代層の女性に向けて訴求力があるものと考えております。
温泉や地元ならではの食は、県内各地で取り組める素材でもあります。また、本県は都会地と比べて乾燥する冬場の湿度が特に高く、肌の潤いが保たれるため、観光客が落ち込む冬季の観光誘客を図る上で美肌は有効なテーマであると考えております。
美肌県しまねにつきましては、これまで女性向け旅行雑誌とタイアップした小冊子の制作、美容や温泉の専門家による動画配信やSNSでの発信などのプロモーションを展開してまいりました。また、ポーラ・オルビスグループと連携し、温泉の肌への効用について、肌分析技術を用いて科学的に調査を行い、得られたエビデンスを活用したPRなどを行っております。
加えて、日比谷しまね館においても、ポーラと連携した美容レッスンや県内の温泉水のミスト体験など、美肌をテーマとしたワークショップなどを開催しており、首都圏における情報発信を強化してるところです。
令和3年度の県の観光認知度調査によりますと、美肌県しまねの認知度は9.7%であり、ご縁の国しまねのの15.3%に比べて低い状況にあります。ご縁の国しまねは、プロモーション開始から約10年をかけて定着してまいりました。美肌県しまねにつきましても、ターゲットに訴求力のある効果的な情報発信を継続することにより、認知度向上と誘客につなげていきたいと考えております。
また、国際社会が誰一人取り残さない持続可能な開発目標として掲げておりますSDGsの観点は、観光における情報発信においても重要であると考えております。県内には、高品質で豊かな銀を生産する一方で、自然環境に配慮した鉱山運営が行われた石見銀山や産業と自然の共生により育まれた日本古来の製鉄法たたらなど、SDGsの理念の共有した貴重な観光資源があります。県といたしましては、こうした観光資源を学校や旅行会社に向けて紹介する教育旅行素材集において、SDGsに関する学習素材に目標別アイコンを入れて表示するなど、SDGsの観点も取り入れた情報発信を行っているところです。
加えて、最近では、SDGsに貢献していることをうたった旅行商品を選ぶ観光客が増えてきており、例えば旅行代金にカーボン・オフセット料金を含めた旅行商品なども数多く出ております。今後、観光客に選ばれる観光地としてSDGsの観点は欠かせないものになると考えておりますので、現在の観光関連事業者のSDGsの意識が高まるよう、島根県観光人材育成オンデマンドセミナーなどを通じて啓発してまいります。

藤井洋一地域振興部長答弁

UIターンの状況と関係人口の構築について

ふるさと島根定住財団は、県人口が初めて自然減に転換し、県が定住元年を掲げた平成4年に設立され、今年で30年の節目の年を迎えました。まず、平成8年度に全国に先駆けてUIターンしまね産業体験事業を開始し、平成18年度からはUIターン無料職業紹介事業を、平成21年度からは県独自でしまねUIターンフェアを開催しております。
Uターン、Iターン者数については、5年以上居住する意思のある県外からの転入者と定義し集計を開始した平成27年度以降の状況を申し上げますと、Uターン者数は平成27年度の2,775人をピークに一貫して減少し、令和3年度は2,001人、Iターン者数は平成28年度の1,643人をピークに減少し、令和2年度で一旦増加したものの、令和3年度は1,316人となりました。
次に、関係人口の拡大に向けた取組につきましては、まず島根に関心を持ってもらい、つながりを持ち続けてもらうことで、将来的な移住等につなげることを目的として、平成24年度からしまコトアカデミーを実施しております。
これに加えて、令和2年度に開設したしまね移住支援サテライト東京などで関係人口セミナーを開催しているほか、昨年度からは専修大学において島根の地域課題解決への理解を深めてもらう寄附講座を開設しております。
また、昨年10月に関係人口と地域をマッチングする島根関係人口マッチング・交流サイトしまっち!を開設し、運営をしております。

過去の投稿

園山繁の活動日誌