県議会だより

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令和4年9月月議会一般質問(4)

「地方創生」農山漁村について

次に、農山漁村の状況についてお尋ねします。
台風11号、14号の襲来はコメや果樹の収穫期と重なっており、その影響を心配するところであり、被害を受けた地域や就業者に寄り添った適切かつ迅速な支援をお考えいただきますようお願いをしておきたいと思います。
初めに、県内の農業や漁業、林業就業者の平均所得の推移について1950年から10年刻みでお示しください。
同様に、農産物価格の推移について、例えば米や野菜、畜産物の主標で同じようにお示しください。
地域から八百屋や魚屋が消え、全国チェーンのスーパーやコンビニにとって代られています。スーパーやコンビニの商品の多くは全国均一で、価格も同じ。生鮮品の多くは冷凍や真空処理された、輸入品や養殖も多く、地元産は極めて少ないものです。車両価格や船舶建造費、農業用ハウスなどの施設費をはじめ燃油価格や飼料、肥料、人件費、電気料金、包装資材、運送経費など、生産コストが大きく上昇する中、産品の市場価格はほとんどと言っていいほど上昇していませんが、1次産業が直面している問題についてお聞かせください。(農林水産部長)
次に、島根県と全国の農山漁村、いわゆる中山間地域と都市の人口移動の状況についてお示しください。(地域振興部長)
こうして考えてくると、法律をもって引き上げされる最低賃金や値上げが拒否できない電気料金、輸入資材などの生産コストを市場価格に転嫁できるしくみが不可欠だと考えますがいかがですか。(知事)
また、島根県は生活費が都会に比べて安いとの考えは、自家用車や持ち家のローン、大学や各種学校の教育費を考慮すると決してそうではなく、世帯収入も3世帯同居が従前よりも大きく減少している実態からすると優位性は少ないと考えられますし、県内一般企業の大卒者比率が公務員と比べて大きく劣ることを考えれば、教員や警察官を含めた公務員給与のありかたも再考すべきだと思いますが、知事の所見をお尋ねします。(知事)

西村秀樹農林水産部長答弁

農山漁村の状況について

農林業センサスは1950年から、漁業センサスは1949年から始まっておりますが、当時は所得についての把握はなされておりませんので、それぞれデータの把握が始まった年からお答えします。
まず、農業では、農林水産省の生産農業所得統計によりますと、農家1戸当たりで計算しまして、1960年からとなりますが、13万4,000円、1970年、26万7,000円、1980年、52万5,000円、1990年59万9,000円、2000年39万4,000円、2010年52万1,000円と推移し、その後は畜産農家の規模拡大などが影響していると考えられますが、2020年は91万5,000円となっております。
漁業では、漁業センサスを基に計算した沿岸漁家の所得を申し上げますと、データを取り始めた1978年が153万円、1988年が164万円、1998年168万円、2008年138万円、2021年91万円と減少してきております。
林業就業者の所得につきましては、統計資料がございませんので、当時の賃金データに平均的な労働日数210日を掛け合わせ試算したもので申し上げます。
1950年5万円、1960年12万円、以下、10年刻みで、37万円、130万円、183万円、252万円、276万円、2020年336万円と上昇傾向にあります。
なお、島根県の毎月勤労統計調査地方調査報告によれば、2020年の現金所得は336万円となっており、農業漁業はこれに比較しまして単純に比較はできないと考えますが、低い状況であると考えております。
まず、米につきまして、1950年全国単価の政府買入れ価格60キロ当たりで2,505円、1960年4,162円、1970年8,272円、1980年1万7,674円、1990年、平成2年以降は、相対取引価格となっており、島根コシヒカリで申し上げますと、1990年2万1,800円、以下、10年刻みで1万6,177円、1万3,206円、2020年1万5,397円となっており、長期的に見ますと低下傾向にございます。
野菜につきましては、農林水産省の青果物卸売市場調査での全国のデータとなりますが、1985年から付されており、キャベツを例にしますと、1キロ当たり、1985年73円、1990年、91年、以下、10年刻みで70円、100円、2020年が94円となっており、これは作況により左右されている状況であります。
続きまして、畜産では、JAしまね取扱いの子牛取引価格を申し上げますと、1頭当たりの平均が1960年からとなりますが、4万1,000円、1970年8万2,000円、以下、10年刻みで41万5,000円、55万4,000円、35万9,000円、36万2,000円、2020年は66万2,000円と、価格は上下しております。繁殖雌牛の減少や枝肉価格の上昇に伴い、近年は上昇している状況です。
なお、先ほどの米の価格を消費者物価指数で換算して比較してみますと、これは消費者物価指数ですので生産者の販売価格とは異なりますので単純に比較とはなりませんが、2020年が先ほど1万5,397円、これを100としてみますと、公表されている消費者物価指数を使って計算できる一番古い1970年の米の価格を計算してみますと、3万866円となり、この数字を比較すると約半分というふうに見て取れます。
第1次産業が直面している問題につきましては、議員の御指摘のように、生産資材等が急激に上昇している中、これらによる生産コストの増加分を販売価格に転嫁できていないことであると考えています。このような場合に備えて国では各種価格安定制度が用意されておりますが、県としましては輸入に大きく依存している飼料、肥料について、県独自の支援を行うほか、生産コストの低減や省力化につながる生産基盤強化への支援などを行ってまいる考えであります。

藤井洋一地域振興部長答弁

中山間地域と都市の人口移動の状況について

全国の状況との比較ができる1970年以降のデータに基づき、10年刻みでお答えします。
本年4月1日時点での県内の中山間地域とそれ以外の地域、いわゆる都市部の人口の状況を見ますと、1970年の中山間地域の人口は54万2,000人で、都市部の人口は23万2,000人となり、以下、同様に1980年が52万4,000人と26万1,000人、1990年が50万6,000人と27万5,000人、2000年は46万9,000人と29万3,000人、2010年は42万1,000人と29万6,000人、2020年は36万7,000人と30万4,000人となり、1970年から2020年までの50年間で県内の中山間地域の人口が17万5,000人、割合として約32.3%減少し、都市部の地域では7万2,000人、約31%の増加となっております。
一方、全国の中山間地域と都市部の地域の人口の状況につきましては、農林水産省も農林水産研究所の調査結果に基づき申し上げますと、1970年の中山間地域の人口は1,963万人、都市部の人口は8,504万人となり、以下同様に、1980年が1,887万人と9,819万人、1990年が1,822万となり人と1億539万人、2,000年は1,743万人と1億949万人、2010年が1,586万人と1億1,220万人、2020年は予測値となりますが、1,366万人と1億1,166万人となり、1970年から2020年までの50年間で全国の中山間地域の人口は596万人、約30.4%減少し、中山間地域以外の地域では2,662万人、約31.3%の増加見込みとなっております。県内、全国ともに中山間地域からいわゆる都市部への人口移動が推測される状況となっております。

藤井洋一地域振興部長答弁

結婚と出産に対する全国調査について

国立社会保障・人口問題研究所が行った結婚と出産に関する全国調査は、若者や子育て世代の結婚や出産を巡る行動や意識の変化について5年ごとに実施されるもので、昨年6月に独身者約8,000人と夫婦約7,000組のうち妻が回答者として集計されたものです。
まず、未婚者の結婚に対する考え方は、いずれ結婚するつもりと考える割合が18歳から34歳の男性で81.4%と、前回と比べて4.3%減少、女性では同様に84.3%で、5.0%減少しました。恋人と交際中の割合は、男性が21.1%で横ばい、女性は27.8%で、前回から2.4%減少しました。また、未婚者の6割が異性との交際経験があるものの、3人に一人は特に異性との交際を望んでいないとの回答でした。加えて、未婚者のうち将来結婚する意向のある人が希望する子どもの数は、男性が1.82人で、前回と比べて0.09人減少、女性は1.79人で、前回と比べて0.23人減少し、初めて2人を下回りました。このことから、未婚者の中で家族をつくる意欲が低下している傾向が見られます。

安食治外健康福祉部長答弁

島根県の結婚件数と出生数の推移について

国の人口動態統計によりますと、本県の婚姻件数は昭和30年が6,559件、30年後の昭和60年は4,089件、さらに30年後の平成27年は2,931件、その5年後の令和2年は2,398件、翌年の令和3年は2,336件となっており、令和3年は過去最少の件数となっております。
次に、本県の出生数は、昭和30年は1万7,162人、30年後の昭和60年は9,051人、さらに30年後の平成27年は5,551人、その5年後の令和2年は4,473人、翌年の令和3年は4,415人となっており、出生数も令和3年が過去最低の人数となっております。
令和2年と令和3年の本県の婚姻件数について、それぞれ前年と比較してみますと、令和2年は227件の減、率にして8.6%の減少、令和3年は62件の減、率にして2.6%の減少となっております。
県内で新型コロナウイルス感染症が初めて確認された令和2年の8.6%という減少は、令和元年の前年に対する減少率である1.8%と比べて大きく拡大をしており、これはコロナの感染拡大による不要不急の外出自粛要請による出会いの場の減少や婚活イベントなどの開催数の減少などが影響しているものと考えております。
次に、令和2年と令和3年の本県の出生数について、それぞれ前年と比較してみますと、令和2年は121人の減、率にして2.6%の減少、令和3年は58人の減、率にして1.3%の減少と、緩やかに減少していますが、先ほど申し上げました令和2年以降の婚姻件数の大きな減少が今後の出生数の減少に影響を及ぼす懸念があると考えております。
なお、婚姻の時期から一定の期間を経て出生を迎えることになりますことから、出生数は長期的な視点で分析する必要があると考えております。

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