県議会だより

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令和4年9月月議会一般質問(3)

「地方創生」地域別最低賃金について

次に地域別最低賃金についてお尋ねします。
島根県でも先の審議会で、地域別最低賃金について33円の引き上げが答申され、10月5日から適用となりますが、最賃制度はいつから始まったものですか。
ところで、地域別最低賃金の全国の加重平均と東京都・島根県の地域別最低賃金は、20年ほど前には東京と島根県の賃金差は100円であったのに、東京と島根は大きな差異が生じた理由はどこにあると考えますか。
また、最低賃金の格差によってどのような状況が生じると考えられますか。(商工労働部長)

田中麻里商工労働部長答弁

地域別最低賃金の格差について

最低賃金制度は、昭和32年の中央最低賃金審議会の答申を受けて昭和34年に制定された最低賃金法に基づき施行され、国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
以降、法律の一部改正等ございましたが、昭和51年に全ての都道府県に地域別最低賃金が設定され、現在に至ります。
各都道府県の最低賃金は、毎年国の中央最低賃金審議会が示す目安を最高に、都道府県ごとの地域最低賃金審議会において、労働者側の視点に立った地域における労働者の生計費及び賃金、経済者側の視点に立った通常の事業の賃金支払い能力を考慮して決定、答申され、その答申に基づき、各地の労働局長より決定されます。
地域間に差が生じる要因は様々あると考えられますが、最低賃金制度が導入された昭和30年代以降、地方から都市部への人口流出など、東京等都市部への人や企業などの集中が進み、地方との経済格差が広がってきております。こうした状況を踏まえ、国の審議会では、東京が属するAランクと島根が属するDランクの各地域の経済状況に配慮し、目安に差を設けた答申を行っています。
加えて、東京都では、平成19年に最低賃金と生活保護水準と比較した結果、最低賃金が生活保護水準を下回る状況にあったため、5年をかけてこの解消に向けた引上げの対応を行い、国の審議会が示した目安以上の大幅な引上げを行っています。
島根においても、目安に基づいた引上げを行っていますが、長期にわたり都市部と地方の経済状況の差が広がり、東京の目安との間に差が生じたこと、東京が最低賃金と生活保護水準の乖離の解消への対応といった特別の事情があったことから、引上げ幅に大きな差が生まれ、東京と島根の最低賃金に大きな差異が生じていると考えます。
最低賃金の地域間の格差は、給与体系全体に影響を及ぼすこととなり、就職に当たり給与等の水準を重視する若者などは都市部への流出が考えられます。
また、外国人の技能実習生については、給与の高い都市部での実施を選択する傾向があり、さらに技能実習から特定技能に移行した際には、より賃金の高い都市部へ転職していると関係機関からも聞いております。
以上のことから、都市部と島根県の最低賃金の差は是正されることが望ましいと考えます。
一方で、最低賃金の上昇は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響に加え、原油価格や原材料等の高騰の影響により、厳しい状況にある県内事業者の事業継続に影響を及ぼすことが懸念されます。したがいまして、経費増加分の適正な価格転嫁が可能となるよう、発注企業に対する指導監督の適切な対策を講じるよう国に求めてまいります。
あわせて、県といたしましても、県内企業が最低賃金の引上げにも対応できるよう、商工団体等の関係機関と連携して、県内事業者の経営基盤の強化や生産性向上に向けた取組を支援してまいります。

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