県議会だより

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2月定例県議会一般質問(5)

空き家の活用について

過去の質疑で、県内の持ち家の世帯主について、その3分の2が65歳以上との答弁があり、遠からず空き家が激増すると予測されますが、初めに空き家の現状についてお尋ねします。(地域振興部長)

 

今期定例会で提案されている令和5年度予算における空き家対策と県内市町村の空き家対策についてお聞かせください。(地域振興部長)

空き家の流動化や活用を阻んでいる問題は、不動産の仲介者や住家の老朽化、仏壇、片付け、隣接する林野や田畑の問題などや様々あると思いますが、どのような対策を講ずれば空き家の流動化が進むと考えられますか。(地域振興部長)

 

アベノミクスによる低金利政策によって、中期の住宅ローンの金利が極めて安い水準となり、若年者の住宅建設が盛んとなり、核家族化に拍車がかかってきていますが、諸物価高騰や欧米との金利差縮小からは、早晩、金利の上昇は避けられないと思いますが、金利上昇は住宅状況にどのような問題を生じさせると考えますか。(地域振興部長)

 

若年世代が、従前のように新築住宅を建築することが難しくなれば、空き家の改修や生家で3世代同居が増加することは容易に想像でき、また、今は、さびれて黄昏の地域となっていても居住基盤や学校、保育園などの社会インフラが残存している地域に人が集まってくる可能性が無しとは言えないと思います。そうしたことからは、県内各地の「まち」は貴重な存在であり、居住基盤の再構築を念頭に入れたまちづくりが大事だと考えますが、知見をお聞かせください。(地域振興部長)

 

藤井洋一地域振興部長答弁

空き家の現状について

総務省の住宅・土地統計調査によりますと、空き家の総数は直近の平成30年において全国で約849万戸であります。このうち、賃貸用または売却用の住宅やたまに寝泊まりする人がいる住宅、別荘などを除いた居住目的のない空き家は全国に約349万戸あり、20年前と比べて1.91倍に増加しております。国土交通省が今月発表しました空き家対策小委員会の取りまとめによりますと、居住目的のない空き家は、過去のトレンドによれば、令和12年には470万戸に達すると見込まれております。

さきに述べました調査によります島根県内の空き家の総数は、平成30年に4万8,300戸となっており、このうち居住目的のない空き家は3万3,200戸であります。これは、20年前と比べて1.82倍と、全国の増加率に比べてやや伸び率が低く、この点を加味し、同様の試算を行いますと、令和12年の県内の空き家数は4万5,000戸程度となります。

藤井洋一地域振興部長答弁

令和5年度の空き家対策について

まず、県事業についてですが、土木部では、島根定住推進住宅整備支援事業により、市町村が行う空き家を改修し、賃貸物件として提供する取組や、空き家バンクの登録を支援しております。また、地域振興部では、今年度新規事業として創設をしました中山間地域、離島における空き家流通の新たな仕組みづくりや、地域運営組織との連携による空き家活用の取組を行う市町村を支援するモデル事業により、引き続き取組を進めてまいります。

市町村においては、空家等対策計画を定め、相談窓口や空き家バンクによる活用促進、空き家の購入や改修に対する独自の助成、老朽化した危険空き家の除却支援のほか、地域外に居住する所有者への適正管理に向けた働きかけなどに取り組まれております。例えば、出雲市では、NPO法人出雲市空き家相談センターへ委託し、司法書士や土地家屋調査士などの専門家にワンストップで相談できる体制を構築されており、安来市では、空き家の解体概算費用や土地売却査定サービスを提供する民間企業と連携協定を締結されるなど、様々な取組が行われております。

藤井洋一地域振興部長答弁

空き家の流動化促進について

 

空き家の活用や流動化を進めるためには、利用可能な状態でいかに早く次の入居者へ引き継ぐかということが重要であります。一方で、空き家の活用が進まない背景として、管理や活用に向けた所有者の意識が乏しいこと。遠隔地に居住する人などは管理できない可能性が大きいこと。活用意向があっても利用可能な相談先が少ないこと。所有者は譲渡を希望する場合が多いものの、入居希望者は賃貸を希望する場合が多く、需給ギャップがあることなどがあると考えております。

このため、所有者や家族の住宅を空き家にしないという意識の醸成。空き家の流通、活用を促進する空き家バンク登録への働きかけ。空き家に対する相談体制の強化。市町村の取組を補完する専門知識を有する民間活動との連携。中古物件を探している人に向けた空き家バンク等の情報発信が必要と考えております。

県としましては、市町村が実施する空き家バンク制度や改修費助成等への支援、不動産業者等と連携した相談体制づくりへの支援のほか、民間団体との連携が進むような情報提供など、空き家の活用が促進されるよう取り組んでまいります。

藤井洋一地域振興部長答弁

金利の動向と新築住宅建設の見込みについて

現在の大手銀行の10年固定住宅ローンの金利を見てみますと、いずれも上昇傾向が続いており、こうした状況が今後も継続した場合には住宅ローンの利払い増加が家計に大きな影響を与えることが想定され、特に若い世代が住宅を取得することが難しくなると考えられます。

一方で、物価も上昇局面にある中で住宅整備に係るコストが増加していることも踏まえますと、都市部等での新築住宅の取得を断念し、土地の取得価格が比較的安い地域における不動産市場の需要が高まり、空き家を活用した中古物件を求める動きも強まる可能性があると考えられます。

 

藤井洋一地域振興部長答弁

県内の居住基盤再構築を念頭に入れたまちづくりについて

新たな場所で住宅を求める場合には、希望に合った物件選びに加え、住まいの周辺環境として商店や学校、保育所や病院などの生活基盤や社会インフラが整っていることが、住まいを定める上で重要な要素になるものと考えております。このことは、都市部以外の地域においても生活機能が確保されていれば新たな居住の候補地となることから、例えば増加する空き家を資源として活用し、人の呼び込みをする上で必要な居住基盤全体の在り方を地域で検討する契機にもなると考えております。

まちづくりについては、住民に身近な市町村の考え方が大事でありますので、こうした視点を持ちながら市町村の意見もお聞きし、今後の取組を進めてまいりたいと考えております。

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