県議会だより

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2月定例県議会一般質問(3)

妊孕力について

孕力(にんようりょく )とは、男性と女性の夫婦またはカップルが子供を妊娠し、出産することができる能力または受胎能力で、この能力の欠如を不妊というと書かれています。

9月定例会で結婚に対する意識調査の結果をお聞きしましたが、県内の婚姻数や結婚年齢、出生数の推移についてお聞かせください。(健康福祉部長)

 

適齢期と言われるように、男女ともに出産に適した時期があるようですが、人間の妊孕力についての知見についてお聞かせください。(健康福祉部長)

 

現状でも16人に1人の子供が体外受精で生まれていると聞きましたが、不妊治療が保険適用となり、県のみならず県内市町村でも独自の支援措置が講じられてきています。県内の不妊治療や人工授精による出産の推移および現状についてお聞かせください。(健康福祉部長)

以前はがん治療や長期の海外出張などによって、妊娠などへの支障がある場合に認められていた卵子や精子の凍結保存が、2013年に示されたガイドラインによって婚姻や年齢に関わりなく可能となり、経口避妊薬の普及もあって、ライフステージを考える上で一番望ましい時期に出産、子育てができる可能性が出てきていると考えられます。米国生殖医学会(ASRM)では、生と冷凍の卵子や精子の受精に差はないとされており、結婚後に、職場で一定のスキルを確立し、30代後半や40代前半で出産を望む女性が不妊に悩み、長期にわたるつらい不妊治療に通う姿を目の当たりにするとき、若い時に卵子や精子を凍結しておくことができればと思う次第であり、子育て環境がすぐれている島根県で、卵子や精子の凍結保存の取り組みを支援すれば、若年世代にとって島根県はライフステージに合わせた生活を可能にする地域として移住が進むのではと考えますが、卵子や精子の凍結保存についての知見をお聞かせください。(健康福祉部長)

安食治外健康福祉部長答弁

県内の婚姻数や結婚年齢および出生数の推移について

婚姻件数につきましては、国の人口動態統計によりますと、平成12年は3,772件、約20年後となります直近の令和3年は2,336件と過去最少の件数となり、平成12年と比べて1,436件、38%の減少となっております。

また、結婚年齢につきましては、国の人口動態統計による平均初婚年齢の推移で見ますと、男性は、平成12年は28.3歳、直近の令和3年は30.4歳となり、2.1歳高くなっております。また、女性は、平成12年は26.6歳、直近の令和3年は29.0歳となり、2.4歳高くなっております。

次に、出生数につきましては、国の人口動態統計によりますと、平成12年は6,522人、約20年後となります直近の令和3年は4,415人と過去最少の人数となり、平成12年と比べて2.107人、32%の減少となっております。

また、参考までに、第1子を出産する年齢を年代別にその割合を見てみますと、国の人口動態統計によるデータから計算しますと、20歳代で第1子を出産する割合は、平成12年は71.7%、令和3年は51.5%となり、20.2%の低下。30歳代では、平成12年には24.5%、令和3年は44.2%となり、19.7%の上昇。40歳代では、平成12年は0.9%、令和3年は2.8%となり、1.9%の上昇となるなど、この20年間で20歳代の割合が低下し、30歳代で上昇している状況であります。

安食治外健康福祉部長答弁

人間の妊孕力について

日本産科婦人科学会や日本生殖医学会が作成しましたホームページや資料によりますと、妊孕力とは、妊娠する、させる力のことを妊孕力と言い、男女とも加齢により低下することが分かっているとされております。また、女性は30歳を過ぎると自然に妊娠する確率が減り、35歳を過ぎるとその傾向が顕著となり、このような加齢による妊孕力の低下は必然的に不妊症を増加させることになるとされております。なお、男性についても、35歳頃から徐々に精子の質の低下が起こるとされております。

安食治外健康福祉部長答弁

県内の不妊治療の推移および現状について

県内の不妊治療による出産の状況につきましては、県内のデータがありませんので、全国のデータではありますが、日本産科婦人科学会倫理委員会の調査報告によりますと、生殖補助医療であります全国の体外授精、顕微授精の実施件数は、平成22年は24万2,161件、直近のデータがあります10年後の令和2年は44万9,900件と1.9倍となっており、20万7,739件の増加。体外授精、顕微授精による出生児数は、平成22年は2万8,945人、令和2年は6万381人と2.1倍となっており、3万1,436人の増加となっております。

また、総出生児数に占める体外授精、顕微授精による出生児数の割合は、平成22年は2.7%で37人に1人の割合、令和2年は7.2%で14人に1人の割合となっており、少子化により総出生児数が減少を続ける中で、体外授精、顕微授精による出生児数は増加している状況にあります。

 

安食治外健康福祉部長答弁

卵子や精子の凍結保存について

卵子や精子の凍結保存は、将来の妊娠、出産に備え、生殖補助医療の過程で行われる手技の一つであります。例えば、がん患者が放射線治療を受けることにより妊孕性を失う可能性がある場合に、医学的な理由から、将来の妊娠や出産に備えて卵子等を凍結保存するという治療を行う場合があります。県では、令和3年4月から、がん患者等で治療内容や年齢などの要件を満たす方を対象として、卵子等を凍結保存するための費用の一部を助成しております。

一方で、これまでも、医学的な理由ではなく、20歳代の方の中には出産や子育てよりも仕事や生活を優先したいという方もあり、そうした方などを対象として、若いうちの卵子等を凍結保存するという治療を行う医療機関がありましたが、平成25年、日本生殖医学会は、卵子等の凍結保存は慎重な運用が望まれるとして、社会的な理由による卵子等の凍結保存に関するガイドラインを公表しました。その上で、卵子等の凍結保存については、日本生殖医学会や日本産科婦人科学会は、保存された卵子等により将来において妊娠する可能性がいまだ明らかでないとされていることや、卵子等の凍結保存後の妊娠、出産は高齢となることが想定され、妊婦の健康リスクが高くなる可能性が高いとの見解を示しております。

議員から、卵子等の凍結保存への支援をしてはどうかとのお考えがありましたが、若年世代にとって、20代には仕事や生活を優先し、将来子どもを授かり、子育てをするという可能性を広げることになると考えられますが、先ほど紹介しました学会の慎重な意見も含めて考えてみますと、現時点では社会的な理由による卵子等の凍結保存を行政として進めることには多くの課題があると考えております。

一方で、男女ともに妊娠適齢期があり、その上で自分のライフプランを考えていくことが大切であるということを若年世代に向けて訴えていくことは重要であると考えております。このため、県では、高校生、大学生を対象に、若い世代の妊娠、出産に関する意識を高めるためのライフプラン設計講座を実施しておりますが、来年度は対象に社会人を加えることとしており、妊娠や出産に関する医学的知識やキャリア形成、ワーク・ライフ・バランスについても考えてもらうきっかけづくりの機会として多くの方に参加していただけるよう努めてまいりたいと考えております。

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