県議会だより

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2月定例県議会一般質問(1)

知事の所信表明及び施政方針について

「ジャネーの法則」は、時間の長さに対する感覚は、年齢に反比例すると言う心理学的学説で、私は66歳ですから、1年の長さは人生の66分の1で、6歳の小学校1年生の孫の1年は人生の6分の1です。

つまり、私の感じる1年間の長さは孫の感じる1年間の時間の長さの11分の1ですから、年齢が進むほど1年がアッと言う間だという感覚が強まるのです。

たったこの間の改選で5期目の任期が始まったと思いきや、もう任期最終の議会との感覚は、過ぎた日々を一瞬のように感じるのでありますが、コロナ禍もすでに4年目に突入し、ウィズコロナに舵を切らなければ、社会経済が機能しないことは必至となっています。

しかし、感覚的には、あっという間の3年という時間ですが、コロナ禍が私たちの生活様式や地域社会のあり様を大きく変容させたことは否めない事実であり、人々の絆や地域コミュニティの強さ、長らく伝えられてきた習俗や伝統文化など、島根県の良さが失われないようにしなければならないと思っています。

同様に、まもなく、ロシアのウクライナ侵攻も1年が過ぎ、これに端を発した化石燃料や金属などの高騰によってエネルギーや食糧といった私たちの社会生活や産業経済の根幹にかかわるものの価格が上昇しています。

日本国内では、エネルギーや食糧などの価格は極めて安定し、給与がさして上がらなくても、生活の困難は、さほどに感じることが少なかったわけですが、これは、日本の投資による諸外国での経済成長の果実による結果であり、また、アベノミクスによる金融緩和と円安政策が、必ずしも設備投資や技術革新による生産性向上によって付加価値を生じなくても、為替差益によって一定の企業利益が確保できるため、給与や配当の要求が低いこともあって、企業の内部留保がどんどん積みあがる結果となっています。

また、低金利政策によって、本来、地方に来るべき銀行預金の金利がほとんどなくなり、個人の貯蓄から生じる利益、所謂、30~50兆円の利子所得がほとんどなくなったことが地方の消費需要を低下させ、人口減少とダブルで地方の活力を低下させたことは否めない事実です。

さらに、このところの、異常とも言える電気代の上昇は、ものづくりの現場や一般家庭が省エネから省電力、自家発電や電力の自給といった方向に向かう端緒となることは必至であり、対応を誤ると、電力会社の存亡にかかわってくることも予測されるだけに、今後の動きを注視したいと思います。

 

さて、「丸山知事さんはいつも怒っている」と形容する県民が少なくありません。小生はそれを聞くたびに、その都度、「真剣だから」と答えていますが、記者会見等で知事が見せるいらだちと強い言葉には、思い描いた県政運営ができない苦悩があると見てきました。

 

知事は、この4年間、県政運営の総帥として大きな任を担ってきましたが、先の代表質問の答弁において、「コロナ、円安、ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高騰など、予期せぬ事態の対応もあって、『人口減少に打ち勝ち笑顔で暮らせる島根をつくるとする島根創生の政策推進は、道半ば』と総括されましたが、初めに、県民が丸山知事に期待したものは何であると感じているのかお尋ねします。(知事)

 

地域を変えるために必要なものは「他所者、若者、馬鹿者」と言われますが、変革を阻害するのはしがらみであり、先例であり、周囲への配慮からくる躊躇であります。大多数の政党、団体が知事を支持して2期目の県政を託すかたちは、しがらみを増大させるばかりで、少々心配していますが、閉塞感を脱して『どんな地域に変わっていくのかワクワクする』と期待できる県政を目指してほしいと思っています。

「島根創生」は人口減少に打ち勝つという旗印ですが、知事にとっては2期目ではありますが、(コロナ禍からの)仕切り直しとなる令和5年度の県政を担う上で、先ず、果たしたい目標は具体的に何かをお示しください。(知事)

 

今期定例会には、グループ制を見直しし、職務執行体制を従前の課長、課長補佐、係長とする分かりやすいラインに戻すとされています。島根創生を果たすには、あらゆる政策が「人口減少に打ち勝つために」という共通項でつながり、部局や組織を超えて一体で取り組むことが不可欠ですが、それを難しくするのが、県庁に巣食う所管病ですが、この回避に向けた取り組みについてお聞かせください。(総務部長)

丸山達也知事答弁

知事に対する県民の期待について

皆様御承知のとおり、私は4年前の知事選挙におきまして人口減少対策、島根創生の実現を訴えまして、県民の皆様の御支持をいただき、知事の大任に就かせていただいたところでございます。このことからいたしますと、県民の皆様が私に対して期待されましたことは、人口減少に歯止めをかけ、人口減少に打ち勝つ島根をつくるための諸施策の強力な推進と、それを実現するための行動であるというふうに認識をいたしております。

加えて、2年目以降につきましては、コロナの感染拡大、また昨年からは物価の一段の高騰を受けまして、県民の皆さん、事業者の皆さん、漏れなく影響が避けられない切実な状況となってまいりました。県民の皆様の暮らしと健康、そして事業を守ることを第一に、県として必要な対策を講じた上で、県知事として島根の実情を訴えて、国に必要な政策や財政支援を実施してもらえるようにすることも私に求められているというふうに考えております。

顰面(しかめづら)の報道になりますのは、特にテレビの皆さんが顰面のところでないと報道価値がないというふうに判断されてるからだと思っております。先般も、今回の当初予算、補正予算の発表を含めて1時間半ほど記者会見をいたしましたけども、大体取り上げられたところは5分の尺の中に収まってると。そんな状況でございまして、ずっと怒ってるわけじゃ当然ありません。

最初から、その5分の間も怒らなければいいんじゃないかというお話もありますが、人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根というふうに言わせていただいておりますとおり、笑顔を目指すためには打ち勝たなきゃいけない。現状を打破しないといけないわけでありますので、それがにこにこしながらだけで実現できるという甘い環境じゃないということでありまして、県民の皆さんは笑顔で暮らしていただくということでありますが、我々はこれが本職でありますので、県庁挙げて必死に取り組まなきゃいけないという認識であります。

県知事としてのいわゆる標準的な姿からすると若干離れてるという御指摘はごもっともでございますけども、島根県の人口の順位は47都道府県中46番目でありまして、47番目の鳥取県に比べますと県土は東西に長く、広く、そして離島も有するという意味で、46番目、47番目相当だというふうに思いながら県知事をやらなきゃいけないと思っておりますので、したがいまして47都道府県の標準的な県知事の仕事の仕方で島根県知事は務まらないというふうに思っておりまして、どちらかといいますと市長さんとか町村長さんのような県知事でなければならないというふうに思っております。

したがいまして、ほかの県知事だとやらないことだったり、ほかの県知事がやることでもやらなかったり、そういうイレギュラーなケースもあろうかというふうに思いますが、いずれにいたしましても様々な御評価をいただいておりますし、県民の皆様方の御支持、御理解があって県政が進むわけでございますので、今後も引き続き県議会における御議論、御指摘を踏まえ、また私自身が現場に出まして県民の皆様の声をよく伺いまして、また広報に寄せられる御意見等もございます。改善できることは改善しながら、目標に向かって取り組んでいくために全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

丸山達也知事答弁

令和5年度に県政上での実現したい事項について

令和5年度におきましては、今般の予算がそういう構成になっておりますけども、当面、新型コロナ対策、また物価高騰対策など、県民生活、事業者の経営の目前に迫っている課題に対しまして最優先で対応する必要があるというふうに考えております。コロナ禍や物価高騰による影響は、島根創生、人口減少対策を進めていく上でのベースとなる県民生活の土台を揺るがしかねない状況でございますので、ここにきちんと対応していくということが必要でございます。

コロナ対策では、現状におきまして政府は5類への移行という大方針という決定されておられますが、様々な、ワクチンをどうするか、外来とか病床確保をどうするか、入院調整をどうするかといったことについてはいまだ未定でありまして、さらに加えて、政府が5類移行を待たずに先行して実施することとされましたマスク着用の推奨を緩和するといった方針など、現在の状況を見ますと、第8波までの医療逼迫や死者数を拡大させない万全の措置が講じられてるとは言い難い状況にあるというふうに考えております。

私は、こういった客観情勢のある中で、5月上旬に5類への移行が予定どおりであれば実行されることになります。そういった中で、8波以上の医療逼迫を招かない、8波以上の死者の増加を招かないといった形で県民の皆様方への影響を最小限に抑えることを目指して、新任期の冒頭、取り組まなきゃいけないというふうに思っておるとこでございます。

その上で、令和5年度におきましては、この3年間の取組を踏まえて島根創生を加速するために、産業、子育て、暮らしの支援や新しい人の流れづくりに関連する事業を強化いたしておりますので、県内産業の活性化、それに伴う所得の引上げ、魅力的な仕事の増加を促進いたしまして若い方々の定着を促し、結婚や子育ての希望がかなえられるような環境整備を着実に進めてまいりたいというふうに考えておるとこでございます。

籏野敏行総務部長答弁

業務の縦割り意識の回避について

部局の枠を超えて連携が必要な施策につきましては、担当部局を中心に関係部局と一体的に取り組むことを基本としております。部局間のはざまにある課題など、複数の部局に関わる課題、取組などにつきましては、知事が責任部長を決め、その部長が他の部局の所管事項や事業の進捗状況を把握して課題の解決に当たっております。

また、部局内で連携が必要な場合は、部長や次長の指揮の下で関係課が必要な課題に取り組んでおります。そして、課内での連携は課長の判断や指示により進められており、グループが再編または分割され、係に変わっても、これまでどおり課長が課の業務の全体的な方向づけを行っていくことは変わりありません。他方で、係制の導入に伴い、課内の組織が細分化される面はありますので、研修などを通じまして課長のマネジメント力の強化を図ってまいります。

今後も組織内の連携をより密にして、各種課題の解決に取り組んでまいりたいと考えております。

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