和而不流(和して流れず)

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出雲大社のマツがあぶない

なぜ築地松保護の失敗が活かされないのだろうか

昨年、防除中に女子高校生が境内で被爆したとして、県は空中散布の厳格化を指導し、出雲大社境内周辺のマツを守るために永らく実施されてきた薬剤空中散布は、中断に追い込まれそうだ。マツクイムシ被害の発生メカニズムは解明されており、被害を予防するには、マツノザイセンチュウを媒介するマツノマダラカミキリの防除が必要で、樹幹注入や伐倒駆除の効果は、築地松が消滅したように十分ではない。歴史的な景観を守ることは並大抵のことではなく、出雲大社神域周辺の荘厳とも言える雰囲気を後世に伝えるためには、薬剤散布の継続以外に選択の余地はない。観光立県を宣言した行政の責務は極めて重く、自然美と時空を超えた営みが放つ輝きを守るために、部局横断で全庁的な知恵を期待したい。

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