和而不流(和して流れず)

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自民党は再生しなければなりませんが・・・・

領域、能力、資源の3つの要素を活かす組織運営が必要だと思います。

企業戦略の要素は「領域」「能力」「資源」の3つだと言われます。領域や範囲、領土を「ドメイン」と言いますが、「企業の活動の範囲や領域」を示す企業ドメインをどう定義するかが、企業の発展の在り方を決定づけることになります。「我が社は何をする会社か」ということがきちんと社員に理解され、顧客に認知されることで、進むべき方向性が明確化になり、組織の一体化が図られるわけです。
コア・コンピタンスとは「他社に真似できない核となる能力」のことですが、激動の時代に競争力を保つためには、過去のデータやシェア、利益などの精緻な分析よりも、自社のコア・コンピタンスを正しく認識・理解して、柔軟かつ大胆に対応することが重要です。ただ、強みを知るには、自らの特徴について客観的に観察することが必要で、「フレームワーク(現実を観察する方法を構成する仮定、概念、価値、慣行の集まり)」などの手法を使いながら、「そもそも我が社は何のために存在しているのか」「我が社は何をする会社か」「我が社の強みは何か」と問い続けることが、日々勝利し続けるための要件となります。
ランチェスターの法則は、「武器の性能が同じであれば、必ず兵力数の多い方が勝つ」というものですが、進化が著しい分野では「破壊的イノベーション」によって、優良企業が突然、新興企業に逆転されること、例えばデジタルカメラの業界などのように、珍しいことではありません。ですから、自社の市場でのポジションだけでなく、市場そのものの現状把握と将来予測、隣接する市場での動向などを、十分考慮した上で、経営資源を分配すべきです。自社の兵力数、すなわち、経営資源は、共感、好意的に感じてくれている顧客のマインド・シェアであり、常に、効果的なコミュニケーションが必要になります。
「自民党はどうしたのか」と問われます。自民党の再生に向けた戦略に欠かせないのは、まず、『自民党は何をする政党なのか』という政党のドメインをしっかりさせることだと思います。「自民党は国民政党なのだ」と言ってはいますが、国民は必ずしもそう見ているわけではなく、「特定の人たちに利益を与える集団ではないか」という疑念が完全に払拭されていません。
自民党のコア・コンピタンスは、何と言っても、地域に張り巡らされたネットワークであり、地方組織の厚みです。地方は、構造改革や三位一体改革、市町村合併などを矢継ぎ早に受け入れた一方で、遅々として進展しない国政改革に業を煮やした結果が先年の参議院選挙や衆議院選挙の結果でした。
小選挙区制の導入や政党交付金制度などによって政治家個人よりも政党の力が大きくなり、国政選挙の方法や候補者選定などが大きく変わろうとしています。「情報の公開」や「メディアマネージメント」など、政策の決定プロセスや広報など、従来とは全く違う観点が必要になっています。国民の皆さんの信頼を取り戻し、再び、政権奪取を果たすためには、民主党・鳩山内閣の失策を批判することではなく、「自民党が何をめざす政党であるのか」「誰に支持される政党であるのか」「政策広報をどのように行い、どうすれば、国民一般に理解されるのか」を、組織が一丸となって、徹底して追求したとき、はじめて達成されるのだと強く感じます。

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