和而不流(和して流れず)

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ロンドンオリンピックが閉幕しました

勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。

ロンドンオリンピックで日本選手は過去最多のメダルを獲得する活躍をしました。従来の大会よりも多くの競技種目でのメダル獲得の要因には、2000年9月のスポーツ振興基本計画に基づいて設置されたナショナルトレーニングセンターで、陸上、テニス、体操、バレー、バドミントン、ハンドボール、バスケットボール、柔道、卓球、ボクシング、ウェイトリフティング、レスリングなど、多岐に亘る競技のトップレベル競技者が専門かつ高度なトレーニングができる環境が整えられたことにあり、また、水泳やサッカーの活躍は全国でジュニアからの養成ができる底辺の大きさがあります。一方で、本家・お家芸とされた柔道の不振は、外国勢の台頭もありますが、競技人口の減少による選手層の薄さにその因を見ることができます。日本の柔道競技者数はフランスを下回ると言われており、競技の世界普及に反比例して日本の競技力低下が顕著となりました。明治天皇の曾祖父で、心形刀流剣術の達人で江戸時代後期の代表的随筆集『甲子夜話』を著した松浦清(肥前平戸藩第9代藩主で号は静山)は、剣術書『剣談』のなかで「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。」と述べていますが、底辺の衰弱は大相撲の役力士が外国勢に席巻されているように国技の衰退を感じます。日本社会が少子化で子供の出生数が減少するなかで、一定レベルの競技力を維持、向上させるためには、地域で各種競技でジュニア育成に汗を流している指導者に評価を与えると同時に、スキルアップが可能となるシステムづくりが必要で、トップレベル競技者の強化のみならず底辺の拡大が次代の大きな課題です。五輪での日本選手の活躍は国民に夢と希望を与えるのみならず、不況や世情の閉塞感を吹き飛ばす力があります。4年後、8年後の大会で選手たちがさらに大きく飛躍することを期待すると同時に、できれば島根県出身の選手がメダルを獲得、凱旋する姿を見たいと思います。

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