和而不流(和して流れず)

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何もできない政治が続いては日本社会が崩壊する

国会で法律案を通過させ、政策を実行するためには「多数」が必要だ

2010年の参議院選挙で民主党が敗北し、国会が衆参の多数が異なる「ねじれ」となった時に『日本は「間違った政策」で失敗する可能性よりも、「何にもできない政権」で日本が沈没していくことになるであろう。「間違った政策」の失敗なら、「責任をとらせて、政権交代させること」が可能だが、「何にもできない政権」からは、無責任・相互不信・無気力という恐るべき退廃が生まれて来るであろう。』と危惧する評論がありました。政権を担う与党の責任は、政治の意思決定のシステムを確立させ、政策を迅速に機能させることにあります。日本は法治国家ですから、政策立案・執行に必要な法律および予算は国会の議決を得る必要があり、議院内閣制の下では与党・内閣が一体でこれにあたることが求められます。
政党が選挙で掲げる「マニフェスト」は、単独政権の樹立が前提で、政治の意思決定のシステムが、迅速に機能しない連立政権下で、短期間にそれを実現することは困難至極です。しかし、短兵急な脱原発論議のような「目先の選挙での優劣のために大局的判断を放棄する」という政治家としてあるまじき風潮の蔓延や一連の配慮外交による国益の喪失は民主党政権のガバナンスが3年を経過して依然として未整備のままであることを示しています。自民党は2007年に参議院選挙で敗北し参議院の多数を失いましたが、公明党との連立で衆議院の2/3の議席を確保し、政権与党としての意志決定システムを辛うじて維持していたのに対し、2009年の総選挙で政権党となった民主党は、当初こそ衆参両院の多数にありましたが、参議院選挙で敗北してから今日まで連立の組み替えなどによる政権基盤の強化を図ることなく「方針あって実行なし」の状況が続いているのがその証左でしょう。
今年の通常国会で民自公の3党合意がなり、消費税の改定法案が成立したものの民主党、国民新党の与党はともに分裂しました。内紛による国会審議の遅延などによって特例公債法案と選挙制度改革法案など重要法案の処理は時間切れとなり、与党の単独採決、野党の問責、不信任決議と、いつもの会期末ドタバタが繰り返されました。政局は冒頭解散・総選挙必至の秋の臨時国会に向けて急速に動き出す様相ですが、政権交代から丸3年、民主党の稚拙な政権運営と決め手を欠いた野党の国会対応によって国政は停滞する一方で、内憂外患、日本の国力低下は深刻な事態を迎えています。

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