和而不流(和して流れず)
Columns
政治家は「言葉がいのち」
一たん口から出た言葉は消えません
山本有二農林水産相は10月18日の夜、佐藤議院運営委員長のパーティでTPPの批准関連の国会審議に関して強行採決に言及し、後に、衆議院TPP特別委員会の理事会で発言を撤回し、謝罪しましたが、11月1日の夜、取り消したはずの発言に関わるコメントをして、円満に合意されたTPPの採決がフイになりました。本人がいくらジョークとことわった上での言葉でも、所管する農林水産行政に関わる最高執行権者の失言は、法案に反対する野党に格好の抵抗材料を与えたばかりか、大臣の辞任を要求する事態にまで発展し、臨時国会の会期内でのTPP関連議案の可決が難しくなっています。政治家は自らの発言に責任を負うのは当然ですが、立場が上になるほど、況や、国政与党幹部や政府要人となれば、発言の内容・一言一句が周りに影響を及ぼす、わけてもオープンの場でのコメントは活字や電波にのるという意識が必要で、山本大臣には猛省していただきたいと思います。過去、柳沢伯夫厚労大臣は、講演で「女性は子どもを産む機械」としたフレーズだけを取り上げられて辞任を余儀なくされました。小生は、発言のごく一部を取り上げて非難する『言葉狩り』のような風潮が決して良いとは思いませんが、口から出た言葉は消すことはできませんから、揚げ足を取られないような意識を持って発言することが必要だと思います。小泉進次郎衆議院議員のように当選1回から発言がメディアに取り上げられることは稀で、「立場が人を創る」と言われるごとく、ほとんどは役職(公職)を経験して順々に「言葉の重さ」を認識するようになります。今回の事象は、政治家には何よりも先ず「言葉がいのち」という意識が大事だと感じさせられる事例です。
│掲載日:2016年11月07日│
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