和而不流(和して流れず)

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新型コロナによる田舎回帰の機運を逃すな!

人口急減地域特措法の施行を生かして雇用と所得の確保を図れ

地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律(人口急減地域特措法)が令和2年6月4日から施行となり、地域の事業者が協同して組合をつくり、職員を雇用した上で、農林水産業、商工業等のそれぞれの事業者に派遣するための仕組みである「特定地域づくり事業協同組合制度」がスタートしました。
「特定地域づくり事業協同組合(事業協同組合)」は、地域人口の急減に直面している地域で、都道府県知事の認定をうけた中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合が特定地域づくり事業(労働者派遣事業等)を行う場合、社会保険料を含む人件費や組合運営費について財政支援を受けることができる制度で、支援対象経費は職員人件費総額の2分の1(1人当たり年額400万円が上限)などとされています。
島根県でこの制度の対象となる地域は、中山間地域活性化計画の適用地域とされており、事業協同組合の設立には発起人4人以上が必要ですが、組合を構成する事業者は農林水産業はもとより製造業、サービス産業、福祉、公的機関まで幅広く許容されており、ほとんど全業種におよんでいます。
事業協同組合の認定には市町村との十分な連携協力体制構築が必要であることは言うまでもありませんが、特定地域づくり事業の開始に至るには、事業計画(案)の作成や関係行政機関への事前相談、設立認可申請、労働者派遣事業の届出までかなりの行政手続きを要することから、島根県では地域振興部に担当職員をおいて相談業務にあたっているとのことで、6月23日に開催された中山間離島振興特別委員会では松江市、出雲市を除くすべての県内市町村で事業協同組合の設立準備が進められているとの報告がありました。
議員立法として法制化された人口急減地域特措法は島根県選出の細田博之衆院議員が中心的役割を果たしており、都市から地方への移動を促すためのハード・ソフトの受け入れ体制づくりを柔軟な運用と財政支援で後押しするものであるだけに、「国は支援をする、そして地域やJA・企業などでしっかりと自主性をもって将来の地域のありかたを考えてほしい」というメッセージを新型コロナウイルス感染症の拡大で予想される田舎回帰の流れに結び付けることができるのか関係者の鼎の軽重が問われるところであり、島根県内の多くの地域で取り組みが進むことを期待しています。

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