和而不流(和して流れず)

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和而不流 2004年

第3号(2004年1月17日)

高名な教育者である先生は、『心の教育』のなかで「人には『記憶力(きおくりょく)』『創造力(そうぞうりょく)』『統合力(とうごうりょく)』『融和力(ゆうわりょく)』の4つの能力がある。学校の成績は『記憶力』で評価するが、それをもって優秀な人間と評価するのは間違いだ。『記憶力』は年齢とともに低下し、モノ造りに不可欠な『創造力』と経営や人事管理の能力である『統合力』は年齢とともに磨かれる。調整能力である『融和力』に至っては老成して初めて発揮される。」と述べておられる。
また、「識(しき)を磨け」とも言われている。人として、判断に誤り無きを期すためには知識のみならず、経験を積み、見識を高め、道理を見極める力をつけるべきだと。確かに、一般社会では「優秀」と言われる人が必ずしも「立派な人間」と評価されているわけではない。特に、昨年は県内公立学校教員の不祥事が相次いだ。
懲戒免職4件の内容が、恐喝、ひき逃げ盗撮、とは何をかいわんやで、寝食を忘れて職務にする同僚の悲嘆が聞こえる。県教委のみならず、県の職員採用の視点 が知能に偏っているとの指摘に「優秀な人材の採用、確保のため・・・云々」と答えるが、「立派な人材を採用・確保」に改めるべきとする意見に説得力がある。
『菜根譚(さいこんたん)』に「平民もあえて徳を種(う)え恵を施さば、すなわちこれ無位の公相(こうしょう)なり。士夫もいたずらに権を貪り(むさぼり)寵(ちょう)を市(う)らば、ついに有爵の乞人(きつじん)となる。(一般庶民でも徳を積み社会に貢献すれば無冠の大臣に相当するが、地位があっても権力に驕り人に恩を売るようならそれは衣冠をつけた乞食である)」とあるが、常に心したい一節である。

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