和而不流(和して流れず)

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和而不流 2004年

第4号(2004年5月13日)

「財政危機のため、新規職員の採用を向こう4年間凍結する」との澄田知事発言に対する県民世論が沸騰している。
くにびきメッセ、石見空港、美術館、アクアスに続く芸術文化センター、歴史民族博物館と依然として大きなハコモノの建設が続くなかでの財政危機宣言だけに批判が大きくなったのかも知れない。
先年、松江市に建設された県立美術館への繰出金(赤字)は年間5億円を超える。「文化施設の運営には行政支援が当然」と公的施設の維持・管理・運営に毎年莫大な予算が投入されている。しかも減価償却は行われないからキャッシュフローと損益が連動してしまう。だから官民の役割を見直そうとする小泉改革に住民の支持と期待が集まることは自明だ。
日本の社会には永年、行政に対する「お上」意識がある。住民のみならず、いつしか公務員にも「全体の奉仕者」としての自覚が薄れてきたように思う。低成長、不況により、昇給はおろか雇用の確保すらおぼつかない社会環境のなかで、1人平均1,000万円もの給与と身分が法令で保証されている以上、全知全能をかけて住民生活の向上のために働いてもらわなければ浮かばれない。
『知至4月号』に貞観政要による
「一たび食する毎に便(すなわ)ち稼穡(かしょく)の艱難(かんなん)を念(おも)い、
一たびる毎に即ち紡績(ぼうせき)の辛苦(しんく)を思う」
(食事をしたり、衣服を着るたびにそれを作った人の労苦に感謝する) との言葉があるが、政治に参画している者として、改めて予算や条例などの審査にあたって常に納税者の労苦に心すべきと思う。

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