和而不流(和して流れず)
Columns
和而不流 2005年
第7号(2005年1月23日号)
「三位一体改革」の議論を聞いていて官庁の国益よりも省益や組織益を優先する姿勢にあきれた人も多いと思う。子々孫々の生存よりいまの自分、未来の安心よりいまの快適さを追う社会風潮は莫大な公債発行を続ける政治の現状に二重写しである。 イエローハットの鍵山秀三郎相談役は、人の求める益の範囲が狭くなり将来よりいまというように時間が短くなるにつれて考え方が刹那的になれば社会が乱れるのは当然の成り行きで、政治家にこそ「微(び)を見てもっ以てして明(めい)を知る(韓非子(かんぴし))」(わずかな兆しを見て将来を見通す)姿勢がほしいと言う。
70年代に日本人は20%を超える高い貯蓄率を誇り、それが高度経済成長の資金需要を支え、いまでも1400兆円を超える貯蓄残高がある。今もって公債発行が可能となっているのはそのお陰だが、近年、貯蓄率が低下し、02年には6.2%まで落ち込んだという。年金の未納も3割を超えた。「自分のやりたいことをするために結婚はイヤ」「子供を産むと損をする」いずれも共通するのは自己益の追求か。
度重なる台風の襲来、熱波、地震と続いた自然災害は地球温暖化に顕著な人類の自然界に対する浪費への警鐘。国でも環境税の創設が検討され、バイオマスなど「持続」をキーワードとした取り組みが始まったが、「ありがたい」「もったいない」の心根こそ肝要ではないだろうか。
│掲載日:2005年01月23日│
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