Columns
12月24日の記者会見で、鳩山首相は「すべて勝間に任せていた」と強調し、調査の結果、母親からの資金提供は12億6000万円だったことを明らかにするとともに、政治献金ではなく贈与として修正申告する方針を示した。
しかし、身内からと言え、自己以外の第三者から提供された資金が政治活動に充当されていれば、政治資金規正法上の問題が発生するのであり、贈与税の申告漏れとして処理すれば、違法行為を免れるとばかりの説明、弁明には嫌悪感すら感じた。
鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の虚偽記入額は5年間で計約3億5900万円に上り、報告書の個人献金やパーティー券収入の6割は…
│掲載日:2009年12月25日│
民主党の小沢幹事長は「内閣と与党は一体。国会で与党の質疑は不要。」と言う。鳩山内閣は、国会の絶対多数を権力基盤として、内閣主導を志向する。しかし、日本は、法治国家であり、最高法規である日本国憲法には、前文に、国民主権が謳われ、権力の行使は、選挙で選ばれた国民の代表が行うと書かれている。41条には、国会が国権の最高機関であることが明記され、66条には、内閣が行政権の行使について国会に対し連帯して責任を負うことが規定されている。つまり、内閣が国会の意志に先んじて執行権を行使することは憲法上不可能であり、たとえ、衆参両院で与党の議席が過半数を超えているとしても、民主主義下では手続きを省略・無視…
│掲載日:2009年10月28日│
衆議院選挙で自民党が歴史的な惨敗を喫し、政権交代が実現した。経済成長戦略を掲げ、敗戦後の日本を世界有数の先進国に導いたプロセスから、政治の役割を持続・安定へ移行させる途を国民自らが選択したということである。
日本は、経済成長で生ずる税収増が、社会保障や地方に対する補助金、交付金制度の拡大いわゆる行政サービスの高度化に充てる財源であり、経済成長がなければ、少子高齢化の進行による医療や福祉給付の自然増に対応できないばかりか、所得や地域間格差を縮小させる「富の再分配」ができずに格差を拡大させることは必至である。残念ながら、自民党は政権党として、社会システムの改革プランを国民に示すこ…
│掲載日:2009年10月04日│
澄田信義前島根県知事には平成21年6月13日午後9時16分内臓疾患により逝去されました。澄田さんは、旧国鉄の常務理事職員局長を経て、昭和62年4月、島根県知事に当選され、5期20年に亘って県勢振興に尽瘁されました。「至誠通天」を座右の銘として、まさに誠実一途で高潔な人柄は、誰からも信頼される知事でした。就任記者会見で「島根県は出雲・石見・隠岐の一体的な発展こそ目指すべき道であり、豊かな自然と神々の時代から受け継いできた歴史・文化の輝きは、日本人をリフレッシュさせる場所に相応しいと思っている」と述べ、荒神谷の銅剣、加茂岩倉の銅鐸に象徴される出雲古代文化の継承・展示を平成19年3月、古代出雲…
│掲載日:2009年06月14日│
テレビ、新聞など全メディアで洪水のような新型インフルエンザの感染報道が続いている。
厚生労働省は、5月16日、神戸市内の同じ高校に通う高校生3人について、国立感染症研究所の検査で新型インフルエンザ感染が確認されたと発表し、その後も、兵庫県下や大阪府で海外渡航歴のない高校生などへの感染が報告され、学校やクラブ活動など通常生活下で感染拡大は現実的なものとなってきた。すでに、各地で感染予防のためイベントや修学旅行などが中止され、学校や幼稚園、保育所では感染のおそれがあるとして、休校、休園(所)しているところもある。
しかし、専門家によれば、今回の新型インフルエンザは感染…
│掲載日:2009年05月17日│
「あんた、一畑薬師や立久恵峡の公衆便所がボットンだちこと知っちょうかね。今まで、何回も水洗にしてごしぇ言って頼んだども、県の施設だけんどげしゃもないげなが」とのご意見を聞き、驚天動地の思いがした。まさか、年間60万人が訪れる島根県の代表的な観光地である一畑薬師に設置されている県の公衆トイレが、汲取りのまま放置されているなど信じ難い事実で、本当にショックを受けた。言うまでもなく、接客施設にとってトイレは「顔」で、お客様を受け入れする姿勢を写す鏡である。昨年3月、島根県は観光立県を宣し、観光を県の主要産業に位置づけるとともに、県民にホスピタリティの醸成・向上を呼びかけ、各種のセミナーやシンポ…
│掲載日:2009年04月21日│
昨年7月、しまね和牛の期待を担った種雄牛「福平高」の子牛枝肉成績等の基礎データが改竄されていた問題で、島根県は「福平高は優秀な種雄牛」としながらも、当分の間は福平高の精液を使用せず、すでに種付けした牛の追跡調査を行うとしてきた。しかし、市場には「しまね和牛のデータはウソだ」との観測が広がり、島根県産子牛の市場価格は全国最低となっている。今後も、島根県が「福平高は優秀な種雄牛で、しまね和牛の改良にとって不可欠だ」との認識を持つのであれば、すでに提出されているデータを廃棄して、県が自ら子牛の基礎データを実証すべきだ。この1年近く、島根県は改竄データの補正を行ったのみで、何一つ主体的な取り組み…
│掲載日:2009年04月03日│
出雲市の「阿国座」建設計画は、2月定例市議会での予算取り下げで、事実上、仕切直しとなっており、市議会は着工反対が大勢であることを考えれば、西尾市長の言う「選挙後に再提案・可決、着手」は不可能で、振り出しに戻ることが確実な情勢だ。
阿国座の建設計画が迷走した理由は、市長の説明が二転三転したからであり、平成20年11月議会で僅差とは言え、議会が多数をもって議決した予算の執行を、「市民の理解が十分得られていない」として、市長が一方的に延期するなど、混乱に拍車をかけている。
平成21年2月議会で、出雲市議会は、市長の議会軽視とも言える行為に対して毅然とした態度を貫いた。首…
│掲載日:2009年03月18日│
連日、大手企業の3月期決算の赤字見込みや減産、人員整理のニュースが続いている。当初の「ハチに刺されたくらいの痛み」との認識が、政府方針の初動対応を遅延させ、「too late too little」の経済対策にしかなっていない。島根県はどうだろうか。溝口県知事は「切れ目のない景気対策を講じて県民生活を守る」と発言されているが、中小企業などに対する制度金融以外にめぼしいものはなく、公共調達の視点や執行方法などは従前のままで、有効な対策が講じられているとは到底言えない状況である。
老人介護や子育て支援施設の建設や公共施設の耐震化、食品や屎尿のリサイクル推進などの分野に対する短期集…
│掲載日:2009年01月31日│
2009年の年頭にあたり取り組むべき課題を挙げておきたい。テーマは「守る」である。急激な経済の落ち込みは雇用に対する不安をかき立てているが、従前のように1次産業に受け皿となるべき土壌は喪失している。しかし、地球温暖化防止の動きをうけて、環境保護の観点から、また、食品の安全性向上の観点から、ともに、農林水産業をめぐる行政関与が深まりつつある。中山間地域や漁村は農林水産業の消長が地域の存廃に密接不可分だから、島根県にとって農林水産業の振興こそ県勢の推進力であり、雇用のセーフティネットである。また、企業経営に不可欠な資金供給が混乱しつつある。米国発信用不安は日本にも大きなダメージを与えているが…
│掲載日:2009年01月03日│