和而不流(和して流れず)

Columns

「島根県に言ってもダメだ」という意見に心からおわびします

「観光地の汲み取り便所が一向に改善されない」とのご指摘は堪えました。

「あんた、一畑薬師や立久恵峡の公衆便所がボットンだちこと知っちょうかね。今まで、何回も水洗にしてごしぇ言って頼んだども、県の施設だけんどげしゃもないげなが」とのご意見を聞き、驚天動地の思いがした。まさか、年間60万人が訪れる島根県の代表的な観光地である一畑薬師に設置されている県の公衆トイレが、汲取りのまま放置されているなど信じ難い事実で、本当にショックを受けた。言うまでもなく、接客施設にとってトイレは「顔」で、お客様を受け入れする姿勢を写す鏡である。昨年3月、島根県は観光立県を宣し、観光を県の主要産業に位置づけるとともに、県民にホスピタリティの醸成・向上を呼びかけ、各種のセミナーやシンポ…

島根県は「正直者」でなくてはならない

福平高の問題処理について島根県の対応は緩い

昨年7月、しまね和牛の期待を担った種雄牛「福平高」の子牛枝肉成績等の基礎データが改竄されていた問題で、島根県は「福平高は優秀な種雄牛」としながらも、当分の間は福平高の精液を使用せず、すでに種付けした牛の追跡調査を行うとしてきた。しかし、市場には「しまね和牛のデータはウソだ」との観測が広がり、島根県産子牛の市場価格は全国最低となっている。今後も、島根県が「福平高は優秀な種雄牛で、しまね和牛の改良にとって不可欠だ」との認識を持つのであれば、すでに提出されているデータを廃棄して、県が自ら子牛の基礎データを実証すべきだ。この1年近く、島根県は改竄データの補正を行ったのみで、何一つ主体的な取り組み…

死者に鞭打つ「阿国座」の問題

予算の取り下げで計画は事実上「白紙撤回」された

出雲市の「阿国座」建設計画は、2月定例市議会での予算取り下げで、事実上、仕切直しとなっており、市議会は着工反対が大勢であることを考えれば、西尾市長の言う「選挙後に再提案・可決、着手」は不可能で、振り出しに戻ることが確実な情勢だ。
阿国座の建設計画が迷走した理由は、市長の説明が二転三転したからであり、平成20年11月議会で僅差とは言え、議会が多数をもって議決した予算の執行を、「市民の理解が十分得られていない」として、市長が一方的に延期するなど、混乱に拍車をかけている。
平成21年2月議会で、出雲市議会は、市長の議会軽視とも言える行為に対して毅然とした態度を貫いた。首…

大胆な財政資金の投入によって雇用創出を図るべき

福祉、安全、環境・リサイクルへの重点投資が地域を救う

連日、大手企業の3月期決算の赤字見込みや減産、人員整理のニュースが続いている。当初の「ハチに刺されたくらいの痛み」との認識が、政府方針の初動対応を遅延させ、「too late too little」の経済対策にしかなっていない。島根県はどうだろうか。溝口県知事は「切れ目のない景気対策を講じて県民生活を守る」と発言されているが、中小企業などに対する制度金融以外にめぼしいものはなく、公共調達の視点や執行方法などは従前のままで、有効な対策が講じられているとは到底言えない状況である。
老人介護や子育て支援施設の建設や公共施設の耐震化、食品や屎尿のリサイクル推進などの分野に対する短期集…

年頭所感

「守る」

2009年の年頭にあたり取り組むべき課題を挙げておきたい。テーマは「守る」である。急激な経済の落ち込みは雇用に対する不安をかき立てているが、従前のように1次産業に受け皿となるべき土壌は喪失している。しかし、地球温暖化防止の動きをうけて、環境保護の観点から、また、食品の安全性向上の観点から、ともに、農林水産業をめぐる行政関与が深まりつつある。中山間地域や漁村は農林水産業の消長が地域の存廃に密接不可分だから、島根県にとって農林水産業の振興こそ県勢の推進力であり、雇用のセーフティネットである。また、企業経営に不可欠な資金供給が混乱しつつある。米国発信用不安は日本にも大きなダメージを与えているが…

民主党の参議院議員に問う

審議しない国会でいいのか

国会の機能不全が続いている。昨年の臨時国会は自衛隊のインド洋派遣、今年の通常国会は揮発油税の暫定税率に与野党で大きな対立点があったが、いまの臨時国会に重大な争点があるとは思えない。補正予算や自衛隊の派遣法案が衆議院でスムーズに採決されたことがその証左である。ところが、一転、参議院では全く審議されないまま時間が経過する状況が続いている。参議院では多数党の民主党が議論のイニシアティブを握っているが、参議院の運営の一切を指揮しているのは衆議院議員のように感じるのだ。政府・与党は1月5日に通常国会を召集するとしているが、民主党は「参議院では一切審議しない」と表明した。現在の国会の状況は小学校の学…

必要以上の給付はいらない

このままでは国の将来はない

年金記録や高齢者医療など、福祉給付の制度欠陥が大きな問題にされている。確かに看過できないものではあるが、制度の欠陥は原因を究明して是正すれば済む。問題は「負担をせずに受け取る」ことに慣れた国民の感覚だ。国は毎年30兆円近い国債(借金)を発行して予算編成をしている。国債の残高は800兆円にも達している。国債は10年から60年をかけて償還されるから、お金を使うのは現役世代で、返すのは将来世代の子ども達だ。日本の年金給付と医療費の総額は国の一般歳出に匹敵する80兆円で、その8割は高齢者向けで、少子化が言われても、モノ言わぬ子ども達への給付は一向に進まない。ちなみに、保育所の保育料は幼児1人あた…

自民党は国民の声を謙虚に聞くべきだ

法律や制度改正による混乱に終止符を

自民党の麻生新総裁には、劉邦の「法三章」の故事を思い起こしていただきたい。三位一体改革による地方交付税の大幅カット、高齢者医療制度の改正による反発、建築基準法の改正による不況などは、いずれも十分な説明や国民合意得ないままに省庁ベースで法令改正が行われたものだ。結果は、混乱し、大きな批判を受け、国民の支持を失うと言う繰り返しである。日本は法治国家であるから、国権の最高機関たる国会が三権のトップに位置し、国会議員は立法府にある公務員として大きな責任と、権限が与えられている。政治家が立法作業を官僚任せにするから、国民の意識とかけ離れた法律ができ、奇妙な政策が実施されるのである。政党交付金の給付…

地方や中小・零細企業への制度金融を充実すべき

日銀法第38条による資金提供でスタグフレーションの解消を

大都市の好況は、金融市場からの流入マネーによるビル、マンション建設などを主とした民間投資の拡大が大きな要因です。金融市場は実態経済の5~6倍に肥大化しており、証券や債権を複合化するデリバティブなどによってさらに拡大・複雑化されています。これに対し、地方や中小・零細企業は、実態経済の枠内で経済活動を行っており、都市と地方の差異は、「格差」と言われるほど大きくなっているのです。一方、金融の自由化や国際標準の導入による関係法令は、全国一律、規模の大小にかかわりなく適用されるため、地方や中小・零細事業者のカネづまりは深刻です。さらに、穀物や原油、金属など輸入品価格高騰によって国富は急激に減少して…

政府・与党は日本の農業をどうするのか

WTO農業交渉のモダリティー合意で国は滅ぶ

世界貿易機関(WTO)は、現在、ジュネーブで、農業交渉などのモダリティー(保護品目の削減基準)合意を目指し、閣僚会合を開催している。日本のガット(貿易の関税協定)ウルグアイ・ラウンド合意の対象は、1332品目で、うち、高関税品目とされるものは169(関税200%超が101品目)だが、これを重要品目として53に削減し、国内消費量の3%を低関税輸入枠として義務づけるとの議長案(ドーハラウンド)が示されている。国内農家に作付制限を課しながら、一方で、ミニマムアクセス(最低輸入機会)として、年間77万㌧を輸入しているコメに象徴される「バカげた」状況がさらに拡大する内容だ。食糧自給率がさらに低下す…

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