Columns
「法三章」の故事は、どんな詳細な法令を定めても、規範意識がなければ何にもならず、簡略な法令しかなくても、人々に規範意識があれば、社会の公正と秩序は守られるということを教えています。
近年、経済活動に関する規制が大幅に緩和された一方で、不祥事や犯罪の多発に対して、規制や罰則の強化を内容とする関係法令の改正が行われ、行政の主たる業務が住民サービスから法令違反の監視に移行するのではとさえ感じられます。
「美しい日本」の根本には、法を超える日本人の理性や社会観が美しくなければならないのであり、選挙目あてのパフォーマンスと近視眼的な議論に終始した通常国会終盤の有様を見るにつ…
│掲載日:2007年06月30日│
イコモスによって『登録延期』と評価された石見銀山の世界遺産登録は、ユネスコ日本政府代表部の近藤誠一大使らの外交努力で『逆転』登録となりました。大森町在住の中村俊郎氏をはじめ、永年にわたって尽力されてきた関係各位に心からお慶びを申し上げます。
世界遺産への登録は、石見銀山を未来に残すべき価値のある遺産として評価することであり、銀山を地域振興の具にすることではありません。「産業遺跡としての学術的な価値を説明すべき」との指摘を真摯に受け止め、銀山遺跡の価値を未来に引き継ぐための調査研究と保存、活用が適切な行政施策として具体化するよう微力を尽くしたいと思います。
│掲載日:2007年06月29日│
合併協議の過程で3年間とされた出雲市と斐川町の消防事業が、斐川町のトップが代わったことを潮目に解決に向かうような兆しが見えてきました。
出雲、簸川地域での水利や消防、ゴミ、医療・福祉など多くの分野で連携した取り組みは、2年前の合併が比較的順調に進んだ大きな要因ですが、消防問題は「単独」を選択した自治体の宿命課題の一つです。
道州制論議に象徴されるように、都道府県や市町村など「地方のかたち」は、さらに大きく変質する様相を呈しています。極めて近い将来の県内市町村の再編は不可避で、出雲市が主導的な役割を担うためにも、ここは兄貴分としての度量を見せてほしいと思います。…
│掲載日:2007年06月28日│
松江城開府400年の記念事業として藩祖の松平直政公の銅像建立が起案され、県庁前に建設されるとの報道がありました。
「島根県庁は松江城の堀の内にあり、藩祖の建立場所として適切」としていますが、「松江藩は島根県の一部地域でしかなく、もっと、浜田や津和野、隠岐地域などの住民感情を斟酌すべきだ」との意見があります。
鳥取県では、学校で明治8年からの一時期に島根県に併合された歴史を学習しますが、「踏まれた痛みは忘れない」の諺の如く、建設によって不快感が生ずるような選択は、たとえ多数意見であっても再考すべきだと思います。
│掲載日:2007年06月27日│
大社町のご縁広場周辺に誘致されていた「えびせんの里」が、進出中止を表明したとの報道がありました。出雲大社は年間250万人が訪れる山陰屈指の観光地ですが、ワイナリーや古代歴史博物館など周辺施設の立ち寄りが増加し、門前の「にぎわい」創出が課題となっています。
出雲市は、お国座や駐車場の建設をはじめとする門前の整備計画を策定し、ホテルなどの利便・集客施設を部外から誘致するとしていますが、足許の事業者による投資の誘発・督励によって地域主体の再生を図ってほしいと思います。
│掲載日:2007年06月22日│
県教委の藤原教育長は、JCの近現代史DVD教材「誇り」について「『判断力が十分に育っていない時期に、いろいろな考え方があることや公正に判断をする力を育てる観点から不適切』とした県教委の判断は、『直接DVDを視聴・精査したものでなく、より慎重な対応をすべきだった』」と答弁しました。
また、「歴史的事象の学習は、教材の選定について慎重を期すべき」とし、さらに「DVDを視聴して、子どもたちに近現代史を学ばせる必要性を感じた」とも述べました。
6月20日付の山陰中央新報では『出雲のアニメ授業「不適切」』と報じられていますが、答弁の一部を引用し、七五三委員長の「DVDの内容…
│掲載日:2007年06月20日│
国の文化財審議会は美保関灯台など9件を国の登録有形文化財として登録するよう答申しました。美保関灯台は、1898年に山陰地方初の第1等灯台として建設された現役の灯台で、付属施設6件とともに選定されました。
島根県のPR下手は今に始まったわけではありませんが、出雲大社をはじめ宍道湖・中海、津和野、隠岐などナショナルブランドを持ちながらアピールできていません。石見銀山に代表されるような「埋もれた資産」はまだまだあるはずです。
島根半島の西端には日御碕灯台があります。出雲大社とともに出雲地方の代表的な建造物で、石造としては東洋一を誇る現役バリバリの灯台です。美保関灯台に続…
│掲載日:2007年06月16日│
6月定例会本会議で、溝口善兵衛知事は「県民中心の県民に信頼される県政」を目指したいと施政方針(所信表明)を述べました。
知事は、『県民の意見をよく聴く』『迅速・果断に行動する』『県と市町村との連携を推進する』『情報公開の徹底と柔軟な発想を求める』『他団体との協調による国への働きかけをする』とし、産業振興と財政健全化が喫緊の課題との認識を示しました。
20年ぶりにトップが交代し、スピード感のある行政施策の遂行を期待しますが、施政方針のトーンは就任スピーチとさして変わらず、少し、拍子抜けする内容でした。
│掲載日:2007年06月13日│
連日の年金報道と参院選を意識した政党のパフォーマンスは、問題の要因は政府・与党の瑕疵との観があります。
1997年に年金の基礎番号制度が導入されたとき、一部の政党はプライバシー侵害につながる国民総背番号制度に途をつけるとして反対した程度で、事務処理の電算化に対するチェックをどうするのかという指摘はほとんど皆無でした。
銀行のATMに代表されるように社会システムの根幹をなすコンピュータですが、東証や全日空など、わずかのトラブル処理に何時間も要する事態は「人間力」の低下を如実に顕しています。
戸籍や年金など、長期にわたって記録の保存が必要な事項について、ど…
│掲載日:2007年06月12日│
総合介護事業大手のコムスンが企業モラルを問われて、事業の継続が厳しくなりました。グッドウィルグループの折口雅博氏は、マザーズやジャスダックへの上場を果たし、ベンチャービジネスの成功者として日本経団連に参画するなど「時代の寵児」と称されています。
企業買収による事業の拡大は、成否が市場の評価に左右されることから、情報公開とコンプライアンス(法令遵守)が不可欠ですが、ライブドアの堀江貴史氏の例を挙げるまでもなく、その姿勢を問われて市場から追放されることも少なくありません。
日本には「分をわきまえる」という言葉がありますが、飽くなき上昇志向は、ともすれば卑しく見え、過ぎ…
│掲載日:2007年06月09日│