和而不流(和して流れず)

Columns

政治家は「言葉がいのち」

一たん口から出た言葉は消えません

山本有二農林水産相は10月18日の夜、佐藤議院運営委員長のパーティでTPPの批准関連の国会審議に関して強行採決に言及し、後に、衆議院TPP特別委員会の理事会で発言を撤回し、謝罪しましたが、11月1日の夜、取り消したはずの発言に関わるコメントをして、円満に合意されたTPPの採決がフイになりました。本人がいくらジョークとことわった上での言葉でも、所管する農林水産行政に関わる最高執行権者の失言は、法案に反対する野党に格好の抵抗材料を与えたばかりか、大臣の辞任を要求する事態にまで発展し、臨時国会の会期内でのTPP関連議案の可決が難しくなっています。政治家は自らの発言に責任を負うのは当然ですが、立…

「敬老の日」に思う

「どうせ・・・だから」ではなく「壊れるから大事にする」という意識を持つ

「浜までは 海女も蓑着る 時雨かな」
これは江戸時代中期の俳人である滝瓢水の句です。瓢水の句には、知人が遊女を身請けすると聞いて詠んだという「手に取るな やはり野に置け 蓮華草」、放蕩の末に身代を潰し、苦労をかけた母の墓前で詠んだ「さればとて 石にも布団も 着せられず」などが知られています。
この句の意味するところは、時雨は晩秋から初冬にかけて降る雨ですが、これから海に入って仕事をする海女が、急に降り出した雨を避けるために蓑を着て浜に向かっている。どうせ海に入れば濡れるのだから、蓑など着る必要はないのだが、「浜までは濡れずに行きたい」という海女の心意気を詠んだもの…

前代未聞の幼稚的な凶行を許すな

「津久井やまゆり園」の犠牲者に心からお見舞いを申し上げます

7月26日、神奈川県相模原市の社会福祉法人「かながわ共同会」が運営する知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、元職員の植松聖が、刃物で入所者19人を殺害、25人に重軽傷を負わせた事件は現代日本の病理を浮き彫りにした。
「障がい者に対する支援は無駄」とする短絡的で幼稚な思想から発した凶行が、現行法制では薬物乱用による誇大妄想や心神耗弱、精神障害などによるものとされ、刑事責任を追及されない可能性もある。過去、19年前の神戸連続児童殺傷事件や15年前の大阪教育大付属池田小連続児童殺傷事件の際には、容疑者の精神鑑定に多くの時間が費やされ、のち、未成年の犯罪者は赦免された。犯罪者の人権擁…

「マイナス金利」導入の懸念

民間投資の拡大策がなければ景気は腰折れする可能性が強い

日銀は、1月末の金融政策決定会合で、これまでの量的緩和策に加えて、日銀が預かる金融機関の当座預金に対しマイナス金利を付与することを決定しました。
日銀の黒田総裁は、市場に供給するマネーの量(マネタリーベース)を年間80兆円のペースで増やすという量的緩和策を2013年4月から実施し、150兆円だったマネタリーベースは2015年12月に約350兆円にまで膨張しています。量的緩和の狙いはインフレ期待による実質金利の低下で、銀行融資を拡大させて民間設備投資を誘発し、円安・株高・経済の拡大循環を実現する目論見、いわゆる「アベノミクス」は順調に推移したように見えました。
とこ…

成人の日によせて

生まれたことに感謝し、「社会の役に立つ」生き方をしてほしい

1月11日は「成人の日」。今年の新成人は121万人で、男性62万人、女性59万人と昨年より5万人減少し、総人口に占める割合も0.95%となり、島根県では7千人が新たに大人の仲間入りをしました。
成人の日は「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い、励ます」ことを目的に、現在は1月の第2月曜日になっていますが、小正月に元服の行事が行われてきた日本古来の習慣にならって1月15日に制定されたものです。
新成人の皆さんに、坂村真民先生の代表的な詩である「念ずれば花ひらく」を紹介します。

念ずれば 花ひらく
苦しいとき 母がいつも口…

2016年頭所感

射有似乎君子

平成3年に平田市議会に議席を得て、地方議員となってから4半世紀(25年)が経過し、県議会の生活も14年目を迎える。島根県の人口は減少を続けており、山村、漁村では過疎・高齢化によって集落の存続が危機的な地域も出現しており、政策的な支援を求めている人々に政治の光が当たるよう行動しなくてはと思っている。
国は「地方創生」として、大都市圏に集中した人や企業などを地方に分散させ、都市部に比べて子育てや居住環境が整っている地方で出生数を増加させたいとする国家戦略を掲げ、地方自治体にその対応方針となる総合戦略の立案を求めた。島根県を含めて県内市町村のほとんどは昭和40年代から継続的に人口定…

慰安婦問題の日韓合意につ

多くの日本人は隣国政府を信頼していない

日韓両国間の懸案とされてきた慰安婦問題が12月28日に開催された外相会談で決着したと報道されました。報道では、日本政府はおわびと反省の気持ちを表明するとともに元慰安婦の支援を目的とした財団の設立などを確約し、韓国政府は慰安婦少女像について対応策を関連団体と協議し、解決へ努力するとされています。
最近になって多少改善されたとは言え、韓国から伝わってくる論評は、日本の施政下にあった時代の専制隷従の主張から「1960年の日韓基本条約による経済支援は微々たるもの」「1990年代の通貨危機支援は日本側に依頼した事実はない」など、直接その事実に関わった人が現存する中で発せられる歪曲した内…

尖閣の中国漁船審判事犯から5年

国会議員諸氏はパフォーマンスよりも周辺情勢に即応した法制を示せ

2010年9月7日、尖閣諸島周辺の日本の領海を侵犯した中国漁船に停船を命じた海上保安庁の艦艇に同漁船が体当たりして、船長が公務執行妨害で現行犯逮捕されにもかかわらず、「沖縄地検の判断」で処分保留のまま釈放し、帰国させました。この強硬姿勢を見せた中国の圧力に屈服した外交的敗北によって、尖閣に対する中国の姿勢が大きく変化し、公船の領海侵犯は業態化し、尖閣は中国が実効支配とばかりの傍若無人ぶりは目に余るものがあります。
現在、国会で審議されている安全保障関連法案は、現行法の枠内で尖閣を防衛することが不可能となりつつあるという現状認識の下で、日米安全保障条約の発動によって尖閣を防衛す…

基本的学力の定着に必要なもの

学力テストの結果を活かすことは必要だが、近視眼的な対応はマイナスだ

文部科学省から公表された本年4月の「全国学力テスト」の結果は、全国的には、従前からの理科、数学の学力低下に加え、国語で文章から筆者の心情を忖度することが極めて苦手とされたことはコミニュケーション能力の低下が進行し、基礎的な学力をベースにした考察に欠ける、まさに「スマホ」世代に対する課題が明らかとなりました。
ところで、島根県の場合、小学校の算数で基礎基本、応用力ともに全国平均を2ポイント以上も下回り、さらに、ここ数年、学校図書館の充実などに力を入れてきたにもかかわらず国語力の定着が不十分との結果で、過去最低となったことは、島根県の教育関係者には衝撃的なもので、学習指導のありか…

安保関連法案の可決

日本の安全保障にかかわる問題点を洗い出すべきだ

7月15日、衆院平和安全法制特別委員会で安全保障関連法案が可決されました。TVでは、採決に反発する民主党議員がビラを手に大声で委員長の議事進行を妨害するパフォーマンスを繰り広げる様子が繰り返し放映され、新聞各紙は「強行採決」の見出しで法案審議が尽くされたとは言えないとの紙面が目立ちます。しかし、日米安保条約に「国連憲章で定められた集団的自衛権を容認する」と明記され、日本は米軍に基地を提供して、集団的自衛権を行使していることは紛れもない事実であり、安倍首相のコメントに「国民の理解が不十分」とあるのは、「従来の政府見解が間違っていた」とすれば納得できます。今回の法律案の内容は「集団的自衛権行…

過去の投稿

園山繁の活動日誌