和而不流(和して流れず)

Columns

夏季ボーナスの平均が93万円と言うけれど

もっと実体経済に目を向けるべき

東証一部上場企業の夏季ボーナスは平均93万円と報じられています。日本経済の回復が言われ、製造業の好調が伝えられていますが、企業収益の増大は徹底したコスト管理による支出の削減によるもので、鉄鋼や自動車など一部を除いて、生産拡大によるものではありません。
バブルによる不良債権処理のため、預金金利を抑制し、手数料を大幅に引き上げている大手銀行の収益は、預金者や利用者に還元されるべきものですが、凍結、返上されたはずの退任役員の退職金を支給するなど、欧米流の「自己利益優先」そのもので、日本流の「共存共栄」という企業理念は見えません。
社会は増大する一方のペーパー(バーチャル…

人工呼吸器を外した医師が書類送検とは・・・

いったん装着した装置を外したら殺人?

和歌山県警は、和歌山県立医大付属病院で、脳死状態となった80歳代の女性患者の人工呼吸器を外した医師を、殺人容疑で書類送検しました。
家族から親族での臨終立ち会いのために人工呼吸器装着での延命を依頼されたもので、親族到着後に呼吸器を外したことが「殺人」とされたもので医師の行為に避難されるべきことはありません。
終末期医療に対する医師の判断が刑事責任を云々される現状は、医師の判断よりも司法当局の意志が優先されるという不合理を生じさせており、厚生労働省に早期の法令規定を求めたいと思います。

成人を「18才」にすることの是非

体格は「大人」でも社会性や分別が「子ども」では・・・

憲法改正手続きを定める国民投票法には、18歳以上の国民に投票への参加を認める条文が盛り込まれ、「成人」を18才に定める社会法規の改正を促進するよう付言されました。
犯罪の低年齢化や国民一般の高学歴化などにより、社会的責任を果たすべき「成人」の年齢については様々な意見があります。
しかし、国民の平均寿命が高々50才の江戸時代の成人(元服)は15才で、徴兵制が敷かれた明治期から20才となっており、歴史は成人年齢を引き上げてきました。
成人年齢の18才への引き下げは、現代社会の抱える事象を検証せず、単に、政党間の権力争いの思惑で決まった観があり、慎重な議論と…

急がれる宍道湖・神西湖など内水面の水質浄化

チオベンカルプやジェオスミンは警鐘と捉えるべき

宍道湖の水について、カビ臭成分『ジェオスミン』濃度が通常値の60倍にも上昇したため、「カビ臭い」との指摘を受けました。昨年の除草剤『チオベンカルプ』の残留問題に続き、閉鎖水域の水質や湖底環境などの課題がクローズアップされました。
宍道湖・中海は、全国に誇る稀有の内水面であり、出雲大社とともに山陰観光の目玉で、ヤマトシジミが島根県を代表する産品であるだけに、一連の問題は深刻です。
残留農薬の基準については、国に食品衛生法の関係法令の改正を求めていますが、河川をはじめとする周辺からの流入負荷の残留という『内水面が抱える宿命的な課題』に対して、関係行政や住民が、もっと正…

お粗末な愛知県警の現場指揮

何のための29時間

愛知県での発砲立てこもり事件で、現職警察官が負傷・殉職した上に、周辺の学校が休校するなど、解決に29時間も費やすという極めてお粗末な事件処理に言葉が見つかりません。
SAT隊員の配置を含めて、事件現場の状況を克明、詳細にテレビ中継する事件報道にも大きな問題があると思います。
「テロ対策や銃器犯罪に対する警察力の強化」により、近年、1万人の警察官が増員されていますが、撃たれて負傷した同僚を5時間も現場に放置し、救出にあたった警察官を殉職させた指揮者の責任は、「警察への信頼失墜」という、とてつもなく大きなものとなりました。

虚しい「命の尊厳」

相次ぐ殺人事件の報道に対して

連日の殺人事件の報道に唖然としています。いったいどこの国の事象かと見まがうばかりの状況です。
政府は犯罪の低年齢化や飲酒運転、偽装などに対し、刑法の改正による厳罰化と警察官の増員などの「取り締まりの強化」で対応していますが、一向に収まる気配はありません。
「価値観の多様化」という言葉に象徴される「行き過ぎた個の尊重」が日本人の社会性を急激に低下させており、社会に順応できない大人が出現しています。
国会では、教育改革が議論されていますが、「愛国心」と「国と郷土を愛する態度」のように、一番明確にされなければならない教育の目標を、政治的な思惑で曖昧にする状況…

石見銀山」の「登録延期」報道について

遺産の学術的な価値を説明するためには詳細な調査が必要だが・・・

石見銀山は、イコモスによる審査で『登録延期』との報告が行われ、ユネスコの世界遺産登録は赤信号となりました。現地調査の過程で「かなりの質疑事項が出された」との報道があり、一部では「厳しい」との観測もありましたが、今夏の登録が確実視されていただけに残念です。
イコモスによると、「産業遺跡としての学術的な価値の説明が不十分」とのことですが、銀山遺跡の範囲は広大な面積に及ぶため、詳細な調査にはかなりの時間と経費が必要です。厳しい財政状況下での取り組みであるだけに今後の取り組みは困難な局面も予想されます。

可解な高野連の「憲章遵守」

高校野球は他の競技とは何が違うのでしょうか

一部の野球選手がプロ野球の球団から金銭援助を受けていたとの報道に端を発した問題は、「高校や大学での特待制度を認めない」とする野球憲章の存在をクローズアップしました。
甲子園大会を聖域化し「野球は特別」との観がある高野連ですが、多くの高校野球ファンは必ずしも高野連などの方針を評価しているわけではありません。
学業やスポーツの競技力が優秀であることによる特待生制度は一般的に容認されており、今回の一連のドタバタは極めて大きなメージで、野球競技の地位低下に拍車をかけるような気がします。

農水商工委員長に就任しました

島根県は「産業政策」の立案が課題です

過般の臨時県議会で農水商工委員会(農林水産部と商工労働部を所管する常任委員会)の委員長に選任されました。
溝口県知事は就任会見で「島根の課題は産業振興」と述べられ、戦略会議の設立に言及されました。産業投資の成否は、『伸びる分野と伸ばす分野にヒト・モノ・カネを重点的に投入できるか否か』にかかっています。財務官として、国際金融の最前線で、瞬時の投資判断を行ってきた知事の経歴からすれば、立案から予算執行までの手続きは大幅に短縮されると見ており、議会でも、産業政策の大幅な進展が図られるよう、精力的に議論を深めたいと思います。

「ふるさと納税」制度について

国は責任を放棄するのか

菅総務相は、骨太の方針2007において、都会に住む地方出身者の地方納税を認める「ふるさと納税」制度の検討を表明しました。
都市と地方の格差拡大や地方自治体の財政窮乏が大きくクローズアップされるなかでの「ふるさと納税」であるだけに大きなインパクトがありました。
しかし、日本国民は全国どこに住んでいても、憲法で「健康で文化的な生活」が保障されており、国は、地方自治体に対して、一定の行政サービスと社会基盤の整備に必要な財源を税の再配分によって措置する責任があります。
個人の善意によって窮乏する故郷を救済することは立派なことですが、税の分割納付は税の使途を「個…

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