和而不流(和して流れず)

Columns

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。平成19年の年頭にあたり、謹んで新春のご祝詞を申し上げます。
昨年は、豪雪、豪雨などの自然災害と様々な「格差」が顕在化した1年でした。地方の自立と行政の当事者能力の向上を謳った「平成の大合併」から2年が経過しようとしていますが、必ずしも市町村の自治能力が高まったとは言えない状況です。
「地方分権の推進」と言いながら、依然として枝葉末節に至るまで国が関与する行政システムは存続しており、「平成の大合併」はコスト削減のために国が仕掛けた『地方行政のリストラ』という側面を強くしています。
いま、また「道州制」が言われていますが、…

和而不流 2007年

「守る」

日本は法治国家だから、憲法を最高法規とする法令遵守は国民の義務である。しかし、社会規範には法令だけではなく、伝統や慣習など社会通念による「不文法」があるが、これが軽視されつつある。
「強度偽装」や「期限切れ食材の使用」「政治資金の虚偽記載」など、毎日の報道は、『バレなければ罰せられない』というもので、「恥の文化」と言われる日本人の精神文化の崩壊を感じるのである。
次々に制定、改正される法令により、『知らずのうちに咎められる』ケースも増えている。身近な例には鳥獣保護法によるシカやクマなどの被害、食品衛生法による残留農薬問題などである。
県や市町村は、住民…

和而不流 2006年

第9~11合併号(2002年2月25日号)

2月22日は「竹島の日」。条例の制定について意見をもらった。「いまの子供たちはどこの国ともケンカをしていない。なぜ、敢えて戦争と侵略の歴史を負わせるのか」「竹島の日は日本と韓国の子供たちが竹島でキャンプをしたり、一緒に歴史を学ぶ日にしてはどうか」など、日韓が対立する日にすべきではないとの認識はみな同じだ。

近隣諸国と真に未来志向の関係を築くのであれば、次世代が当事者世代の過去を引きずる現状を打開するための知恵が必要だが、中韓両国は外交交渉に侵略の歴史を持ち出し、日本は謝罪と譲歩を繰り返している。
「いったい、いつまで謝罪を続けなければならないのか」という素朴な疑…

和而不流 2005年

第8号(2005年6月18日号)

近頃、「看護婦」が「看護士」、「保母」が「保育士」というように呼称が変わった。
これは村山内閣のときに「男女共同参画推進基本法」が国会に提案され、全会一致で可決、公布されたことに起因する。
政府は男女共同参画推進基本計画を策定し、都道府県や市町村は推進条例を制定してこうした流れをつくっている。「なぜ」「おかしい」と言うと、そうした考えは戦前の古い考え方だと一蹴されるが、日本人の精神文化、伝統文化は崩壊寸前だ。
女性学という耳慣れない分野の先生によると、結婚は男による女性の支配、家事育児、セックスの奴隷化だと言う。そこには、男女和合という視点は見あたらず…

和而不流 2005年

第7号(2005年1月23日号)

「三位一体改革」の議論を聞いていて官庁の国益よりも省益や組織益を優先する姿勢にあきれた人も多いと思う。子々孫々の生存よりいまの自分、未来の安心よりいまの快適さを追う社会風潮は莫大な公債発行を続ける政治の現状に二重写しである。 イエローハットの鍵山秀三郎相談役は、人の求める益の範囲が狭くなり将来よりいまというように時間が短くなるにつれて考え方が刹那的になれば社会が乱れるのは当然の成り行きで、政治家にこそ「微(び)を見てもっ以てして明(めい)を知る(韓非子(かんぴし))」(わずかな兆しを見て将来を見通す)姿勢がほしいと言う。
70年代に日本人は20%を超える高い貯蓄率を誇り、それ…

和而不流 2004年

第6号(2004年11月30日)

女流詩人、金子みすずの作品に「すずと小鳥とそれから私 みんな違ってみんないい」というフレーズの詩がある。
『私が両手を拡げても お空はちっとも飛べないが 飛べる小鳥は私のように 地べたを早くは走れない』『私が体を揺すっても きれいな音は出ないけど あの鳴る鈴は私のように たくさんな歌は知らないよ』『すずと小鳥とそれから私 みんな違ってみんないい』
人も街もともに一昔前までは金太郎飴的、平均的なことが正当で、突出した秀逸よりマイナスの少ないことが優秀とされた。いま、ようやく人と違うこと、他所と違うことが評価の対象となってきた。
この地方は年長者や目上に従…

和而不流 2004年

第5号(2004年8月29日)

アテネオリンピックでの日本選手や中国04総体で郷土選手の活躍を目の当たりにしたときの感動、何かしら弾む心地を「意気が揚がる」と言うのだろうか。
過去、日本では、スポーツの栄光は「名誉だけ」で、金銭的・経済的利益を求めないことが美徳とされてきた。いまは、アメリカンドリームに象徴されるように「富と名声」は結果を残したものだけ得る当然の特権だとされる。オリンピックへのプロ選手の参加やアマチュア選手のプロ化の流れが加速し、「日本人が勝負強くなった」こともこれと無縁とは思えない。
ところが、わが島根県。国体の競技得点はほとんどビリかそれに近い状況が続いている。高校や大学の在…

和而不流 2004年

第4号(2004年5月13日)

「財政危機のため、新規職員の採用を向こう4年間凍結する」との澄田知事発言に対する県民世論が沸騰している。
くにびきメッセ、石見空港、美術館、アクアスに続く芸術文化センター、歴史民族博物館と依然として大きなハコモノの建設が続くなかでの財政危機宣言だけに批判が大きくなったのかも知れない。
先年、松江市に建設された県立美術館への繰出金(赤字)は年間5億円を超える。「文化施設の運営には行政支援が当然」と公的施設の維持・管理・運営に毎年莫大な予算が投入されている。しかも減価償却は行われないからキャッシュフローと損益が連動してしまう。だから官民の役割を見直そうとする小泉改革に…

和而不流 2004年

第3号(2004年1月17日)

高名な教育者である先生は、『心の教育』のなかで「人には『記憶力(きおくりょく)』『創造力(そうぞうりょく)』『統合力(とうごうりょく)』『融和力(ゆうわりょく)』の4つの能力がある。学校の成績は『記憶力』で評価するが、それをもって優秀な人間と評価するのは間違いだ。『記憶力』は年齢とともに低下し、モノ造りに不可欠な『創造力』と経営や人事管理の能力である『統合力』は年齢とともに磨かれる。調整能力である『融和力』に至っては老成して初めて発揮される。」と述べておられる。
また、「識(しき)を磨け」とも言われている。人として、判断に誤り無きを期すためには知識のみならず、経験を積み、見識…

和而不流 2003年

第2号(2003年10月20日号)

自民党総裁選挙が終わった。マスコミは平成研究会(橋本派)や宏池会(堀内派)の対応が分かれたことから派閥の融解が始まったと大々的に報じている。
世論調査で5割を超える支持がある総理・総裁を交代させれば即、国民の支持を失うことは目に見えている。どんな秀逸な政策を掲げても住民の支持・理解がなければ実行できないのは自明で、政治家の価値判断は有権者の思考の延長線上になければならない。
自動車の普及や通信手段の高度化により行政方針に対する住民の賛否を瞬時に集約することが可能となり、教育の普及は住民の価値判断を多様化した。住民の無制限委任を受ける代議制の議会・議員が議論の決定プ…

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